双极性気分障害の原因を特定
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双极性気分障害の原因を特定
Proceedings of the National Academy of Sciencesに掲載
横浜市立大学 学術院医学群 薬理学 五嶋良郎教授らの研究グループは、サンフォード?バーナム?プレビス医学研究所(米国、サンディエゴ)のEvan Snyder博士らと共同で、双極性気分障害*1の患者さんのiPS細胞*2の解析から、collapsin response mediator protein 2 (CRMP2) というタンパク質の翻訳後修飾異常*3を発見しました。
双极性気分障害とは、気分障害と言われる疾患の中の一つのタイプで、躁(そう)状态と鬱(うつ)状态の両方が出现する病态、いわゆる躁鬱(そううつ)病です。この双极性気分障害の患者さんには古くから炭酸リチウムという薬物が使用され、良く効く人とそうでない人がいることが知られていましたが、なぜ効果があるかはよくわかっていませんでした。
今回の研究において、1) 疾患特異的iPS細胞を使った実験で、炭酸リチウム*4が効く双極性気分障害の患者さんの脳では、CRMP2のリン酸化*5が亢進していること、2) この亢進は炭酸リチウムで抑えられること、3) 躁病の動物モデルでは、CRMP2 のリン酸化が亢進していること、CRMP2のリン酸化を起こらないようにしたCRMP2S522Aノックインマウスというモデル動物(後述)では、躁状態が軽減されること、4) 患者さんの死後脳では、神経の伝達を担う構造体であるシナプスの構造が変化していること、5) 炭酸リチウムの処方を受けていたヒトではCRMP2のリン酸化亢進がみられず、シナプスの構造は正常に保たれていること、を明らかにしました。本研究により、炭酸リチウムが効く双極性障害患者さんではCRMP2のリン酸化修飾異常が病態と相関しており、その異常は炭酸リチウムで抑制されることが分かりました。また、この関係は動物モデルでも同様であることが確認されたため、双極性気分障害の新しい治療法の研究開発に大いに役立つと期待されます。
※本研究の一部は、文部科学省、科学研究費補助金(特定領域研究)「細胞の運命と挙動を支配する細胞外環境のダイナミズム」(No. 17082006)、ターゲットタンパク研究プログラム「セマフォリン及びセマフォリン受容体分子群をターゲットにした構造?機能解析と治療法開発」(No. 0761890004)、及びイノベーションシステム整備事業 先端融合領域イノベーション創出拠点形成プログラム「翻訳後修飾プロテオミクス医疗研究拠点の形成」の支援を受けて行われました。
研究の背景と経纬
このシナプスという构造は固定されたものではなく、絶えず生成と消失を繰り返していると考えられています。このバランスが崩れると様々な精神神経疾患に罹患すると考えられてきましたが、その実态は不明でした。
研究の内容
今后の展开
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*2 iPS細胞:iPS (induced pluripotent stem cells)とは、体細胞へ特定の数種類の遺伝子を導入することにES細胞(胚性幹細胞)のように多くの細胞に分化できる多分化能と、分裂増殖を繰り返すことができる自己複製能を持った細胞のこと。疾患特異的iPS細胞とは、特定の疾患患者さんの皮膚や血液などの細胞から作製したiPS細胞のことをいう。疾患特異的iPSの研究を通じて、患者さんの体内で起こっている病気につながるプロセスを詳細に解析することができる。
*3 翻訳后修饰异常:タンパク质は、顿狈础を鋳型として搁狈础合成を経て翻訳され、一定のアミノ酸配列を持つ特定の分子として合成される。タンパク质は、生体内で多くは、翻訳后にリン酸、酢酸、脂质などの官能基と结合するなどの修饰を受けて机能を発现する。これを翻訳后修饰という。最近、ガンや神経疾患等の様々な疾患の中に、この翻訳后修饰が异常となる场合が数多く报告されている。
*4 炭酸リチウム: 気分安定薬のうちの一つ。炭酸リチウムは、グリコーゲン合成酵素キナーゼ3 (GSK3) というキナーゼの活性を阻害することが知られていたが、なぜ有効かについての詳細なメカニズムについては未解明であった(本研究によりその一端が明らかになった)。
*5 リン酸化:タンパク質は、DNAからmRNAを鋳型として生成される。リン酸化は、タンパク質の生成後に受ける最も重要な修飾様式の一つであり、特定の酵素によって行われる。リン酸化はタンパク質のチロシン、セリン、スレオニン側鎖に起こるが、リン酸基はサイズも大きく、負の電荷を保つため、リン酸化修飾を受けたタンパク質の構造が変わり、その機能や働きに変化が引き起こされる。
*6 細胞骨格タンパク質:細胞の形や運動をコントロールする細胞骨格と呼ばれる構造を構成するタンパク質のこと。
掲载论文
PNAS 2017 ; published ahead of print May 12, 2017, doi:10.1073/pnas.17001111
お问い合わせ先
学術院 医学群薬理学教授五嶋 良郎
TEL:045-787-2593
E-mail:goshima@yokohama-cu.ac.jp
(取材対応窓口、资料请求など)
横浜市立大学研究企画?产学连携推進課長渡邊誠
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