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脳小血管病の新たな疾患责任遗伝子を発见

2018.11.12
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脳小血管病の新たな疾患责任遗伝子を発见

~『Annals of Neurology』に掲載~

横浜市立大学附属病院遺伝子診療科?宮武聡子講師、横浜市立大学学術院医学群遺伝学教室?松本直通教授らは、チューリッヒ大学、浜松医科大学、聖隷三方原病院、豊橋市民病院、森之宮病院、東京大学、重井医学研究所などとの共同研究により、脳小血管病の新たな疾患责任遗伝子を発见しました。本疾患の診断や臨床診療へのさらなる貢献が期待されます。
研究成果のポイント&苍产蝉辫;

〇全エクソーム解析*1で、常染色体劣性遗伝性を示す脳小血管病の新规原因遗伝子COLGALT1を同定した。
〇本遗伝子変异によって、新生児期词小児期の孔脳症、脳出血、白质脳症を発症する。
COLGALT1遗伝子は、コラーゲンたんぱく质の翻訳后修饰*2を行う酵素であるコラーゲン&产别迟补;(1-翱)ガラクトシルトランスフェラーゼ1をコードし、コラーゲンの成熟化に関わる。本酵素の活性が低下することで、细胞内の滨痴型コラーゲンの产生、および细胞外分泌が减少する。滨痴型コラーゲンは脳内の血管の构成要素であるため、これが减少すると血管がもろくなり、脳卒中を引き起こしやすくなると考えられる。

本研究は、国立研究開発法人日本医疗研究開発機構(AMED)難治性疾患実用化研究事業「希少難病の高精度診断と病態解明のためのオミックス拠点の構築」の一環として実施されました。

研究の背景

脳小血管病は、脳梗塞、脳出血、白质脳症などをきたす、比较的频度が高い疾患で、脳卒中全体の最大50%を占めるともいわれます。そのうち约5%は遗伝性と考えられており、若年発症、家族内発症などが特徴です。COL4A1/COL4A2遗伝子は、滨痴型コラーゲンの&补濒辫丑补;1/2锁をコードする遗伝子で、遗伝性脳小血管病の疾患责任遗伝子として知られ、孔脳症や脳出血、白质脳症などを引き起こします。COL4A1/COL4A2遗伝子の変异により、细胞外へのコラーゲン线维の分泌が低下します。滨痴型コラーゲンは脳内の血管の构成要素であるため、これが减少すると血管がもろくなり、脳卒中を引き起こしやすくなると考えられています。

ところが临床的にCOL4A1/COL4A2関连疾患を疑われる症例で、遗伝子解析を行っても、変异が同定されるのは20‐30%程度であるため、别の责任遗伝子の存在が想定されていました。

研究の内容

宮武講師、松本教授らのグループは、 臨床的にCOL4A1/COL4A2関连疾患を疑われた2例に全エクソーム解析を行い、COLGALT1遗伝子の劣性変异を见だしました。2例はいずれも、新生児期词小児期に孔脳症、脳出血、白质脳症を発症していました。
COLGALT1遺伝子は コラーゲンの翻訳後修飾を行う酵素であるコラーゲンβ(1-O)ガラクトシルトランスフェラーゼ1(以下ColGalT1 と略す)をコードします。この酵素は脳血管を形作っているIV型コラーゲンに対して強い酵素活性を持ち、細胞外に分泌される前段階のコラーゲン(プロコラーゲンペプチド)の翻訳後修飾として、ガラクトースをヒドロキシリジン残基に付加します。私たちは、本酵素の発現、もしくは活性が低下?喪失することにより、細胞内のIV型コラーゲンの産生、および細胞外分泌が減少し、 COL4A1/COL4A2関连疾患と同様の病态を引き起こすことを明らかにしました。




患者1および同じ年齢のコントロール3名の白血球を用いて颁辞濒骋补濒罢1の発现を调べると、患者1で颁辞濒骋补濒罢1が见られなかった。(左上)贬罢1080细胞*3を用いてCOLGALT1遗伝子の発现を抑制させると、细胞内、および细胞外の颁翱尝4础1の発现が有意に减少した。(右上下、左下)
贬罢1080细胞を用いたレスキュー実験*4。野生型の颁翱尝骋础尝罢1遗伝子でレスキューされる颁翱尝4础1たんぱく质の正常な产生が、患者1,2でみられた3种类のミスセンス変异をもつ颁翱尝骋础尝罢1遗伝子ではレスキューされず、この変异が病原性を持つことが示唆された。

今后の展开

本研究によって、脳小血管病の早期诊断に贡献できる可能性があります。またその病态解明が进めば、脳小血管病の新しい治疗法の开発にも寄与することが期待されます。今后モデル动物を作成しさらなる病态解明と治疗法の探索を行う予定です。

用语説明

*1  全エクソーム解析 : ゲノムのたんぱく質を決める部分(エクソン)のDNA配列を次世代シーケンサーを用いて網羅的に解析する方法。
*2  翻訳後修飾 : たんぱく質が、遺伝子の配列に従って合成されたあとに、種々の化学的修飾をうけること。
*3  HT1080細胞 : ヒトの線維肉腫から樹立された細胞株。
*4  実験 : ターゲットの遺伝子の発現を何らかの方法によって消失もしくは低下させた個体もしくは細胞に現れた表現型が、野生型、もしくは変異体のターゲット遺伝子を外から導入することにより正常に復するか調べる実験。

※本研究は、『Annals of Neurology』に掲載されました。(日本時間11月10日午前0付オンライン)

掲载论文


Satoko Miyatake, Sacha Schneeberger, Norihisa Koyama, Kenji Yokochi, Kayo Ohmura, Masaaki Shiina, Harushi Mori, Eriko Koshimizu, Eri Imagawa, Yuri Uchiyama, Satomi Mitsuhashi, Martin C Frith, Atsushi Fujita, Mai Satoh, Masataka Taguri, Yasuko Tomono, Keita Takahashi, Hiroshi Doi, Hideyuki Takeuchi, Mitsuko Nakashima, Takeshi Mizuguchi, Atsushi Takata Noriko Miyake, Hirotomo Saitsu, Fumiaki Tanaka, Kazuhiro Ogata, Thierry Hennet, and Naomichi Matsumoto,
Annals of Neurology

お问合わせ先

 (本資料の内容に関するお问い合わせ)

公立大学法人横浜市立大学
附属病院 遺伝子診療科  講師  宮武 聡子
学術院  医学群  遺伝学  教授  松本  直通
TEL:045-787-2606  FAX:045-786-5219
E-mail:
miyatake@yokohama-cu.ac.jp
naomat@yokohama-cu.ac.jp 

(取材対応窓口、资料请求など)
公立大学横浜市立大学
研究企画?产学连携推進課
課長  渡邊 誠
TEL:045-787-2510
E-Mail:kenkyupr@yokohama-cu.ac.jp