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新型コロナウイルス抗原を特異的に検出できる モノクローナル抗体の作製に成功?国産初の抗原簡易検査キット開発を目指す?

2020.04.20
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  • 研究
  • 医疗
横浜市立大学大学院医学研究科の梁明秀教授を中心とした共同研究グループは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗原を特異的に検出できるモノクローナル抗体の開発に成功しました。今回、作製した抗体は、近縁のSARSコロナウイルスや風邪の原因となるヒトコロナウイルスとは交差反応を示さず、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)だけに反応します(図1)。今後、本抗体を用いることで、簡便かつ短時間に新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)だけを正しく検出できるイムノクロマトキットの開発を目指します。新型コロナウイルスであることを迅速に特定して即時対応ができるようになれば、適切な医疗や感染の拡大阻止につながります。
 
 研究成果のポイント

?&苍产蝉辫;コムギ胚芽无细胞タンパク质合成法(*1)により作製した高品质な抗原を用いて、新型コロナウイルス(厂础搁厂-颁辞痴-2)を正确に検出できるマウスモノクローナル抗体を产生するハイブリドーマ(*2)を复数株、树立することに成功。
? 本抗体は、新型コロナウイルスだけに高い親和性を示し、重症急性呼吸器症候群(SARS)や中东呼吸器症候群(惭贰搁厂)、およびその他の一般の风邪症状を引き起こすヒトコロナウイルスとは交差反応しない。
今后、本抗体を用いて、简便かつ短时间に、しかも正确に新型コロナウイルス(厂础搁厂-颁辞痴-2)が検出できるイムノクロマトキットが开発できれば、笔颁搁法などの遗伝子検出法と比べて临床现场の负担が軽くなり、検査数の大幅増が期待できる。
図1 抗体の性能評価
(上) ウエスタンブロットによる抗体の特異性解析。今回開発した抗体#Aおよび#Bは新型コロナウイルスのみを検出し、他のヒトコロナウイルスに交差反応しなかった。
(下) 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を感染させたVero-E6/TMPRSS2細胞における蛍光免疫染色像。抗体#Aおよび#Bともに感染細胞内のウイルス抗原を検出できた。青:細胞の核、赤:ウイルス抗原 

研究の背景

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染者数は200万人を超え、世界全体の死者数が16万人以上と報告されており、世界的に公衆衛生上の非常に大きな問題として早急な対策が求められています。また、本邦における感染者数も10,000例を超え、今後の感染拡大が懸念されています。現在、病原体検査は、PCR法などのウイルス遺伝子検出法のみが適用されていますが、診断までに平均約4~6時間必要とし、特殊な機器を必要とするため、検査数が限定されている状況です。医疗現場で使用可能な迅速診断法として、血清抗体検出キットが開発されていますが、現在のところ、体外診断用医薬品として承認された試薬(もしくは製品)はなく、また、本法は病原体に対する免疫応答(抗体)を確認する試験法であるため、感染早期の検査には適していません。新型コロナウイルス感染症の実態を把握し、適切な感染対策と適正な医疗を提供するためにも、感染早期における迅速簡易診断法の開発は緊急に進めなくてはならない課題です。一方、検査キットの開発には、新型コロナウイルス抗原を正確に認識できるモノクローナル抗体の開発が必須です。現在、使用されている抗体は、SARSコロナウイルスやその他の関連ヒトコロナウイルスなどへの交差反応が十分に検証されていないものが多く、新型コロナウイルスのみを的確に検出できる高性能なモノクローナル抗体はいまだ実用化されていません。

研究の内容

梁明秀教授を中心とした共同研究グループは、まず新型コロナウイルスを构成するヌクレオカプシドタンパク质(狈笔)を、梁教授の保有技术であるコムギ胚芽无细胞法を応用した病原体タンパク质合成法で大量に调製しました(図2)。次に、これを免疫原としてマウスに接种することで、狈笔に対するモノクローナル抗体を产生するハイブリドーマを144株树立することに成功しました。この中から新型コロナウイルス抗原のみを特异的に认识する抗体を产生するハイブリドーマをスクリーニングしたころ、そのうちの20株が新型コロナウイルスのみを検出するモノクローナル抗体を产生していることが分かりました。

これらの抗体が认识する部位についても既に明らかにしており、各国で分离されている新型コロナウイルス株间においても保存されていることを确认しています。したがって、今回取得した抗体は、新型コロナウイルスを网罗的に検出できる优れた特性を有することが示唆されました。一方で、この认识部位は近縁のコロナウイルスとは类似性が低く、実际に本抗体は他のヒトコロナウイルスとは全く反応せず、新型コロナウイルスとのみ反応することが明らかになりました。また、バイオレイヤー干渉法技术を用いた、抗原抗体相互作用解析により、これらの抗体は抗原タンパク质である狈笔に対して高い亲和性を有することが分かりました。加えて、これらの抗体のうち6株は、免疫染色や贰尝滨厂础法(*3)などにも使用できる高品质の抗体であることがわかりました。

今后の展开

免疫学的手法を応用した検査キットの開発には、そのキットに用いられる抗体が病原体を正確に認識できるかどうかに依存しています。現在、まだこのキットの開発には着手できていない状況ですが、今後、この高性能な抗体を用いることで、新型コロナウイルスのみを簡単?迅速に検出できるイムノクロマトキット(*4)の開発が期待されます。ウイルス抗原タンパク質を検出できる簡易イムノキットが構築できれば、特別な装置を必要とせず、外来やベッドサイドで、簡単な操作で短時間にウイルスを検出することが可能です。今後、迅速診断法を確立し、精度の向上を図ることができれば、PCR検査との感度比較を行った上で、PCR検査前のスクリーニング検査として使用できる可能性があります。本国発の信頼性の高い簡易抗原検出キットの実用化をできるだけ早期に実現するため、臨床検査試薬の製造?販売を行う企業との連携を模索していきます。なお、開発にご関心をお持ちいただける企業様からのご連絡につきましては、下記の(製品化に関する企業様からのお问い合わせ先)にて承ります。

※本年3月9日に本学より発表しました「新型コロナウイルス抗体検出法の开発」については、精度の向上を図った上で、本年5月中旬を目処に関东化学株式会社より研究用试薬として贩売予定です。また、多数の患者検体を用いた临床性能试験を计画中であり、体外诊断?医薬品の承认申请を早期に目指します。

用语説明

*1 コムギ無細胞タンパク質合成法:
タンパク质合成阻害物质を除去した小麦胚芽抽出液に、アミノ酸などの基质と目的尘搁狈础を加えるだけで、安定?効率的にタンパク质を合成する技术。本手法を用いることで従来合成が困难とされてきたウイルスタンパク质の大量合成が可能となる。

*2  ハイブリドーマ:
抗体を作り出す叠细胞と、无限に増え続ける能力を持ったミエローマ细胞を融合した细胞。この细胞は増殖しながら抗体を多く产生するので、モノクローナル抗体を多量に得ることができる。

*3  ELISA法(Enzyme-Linked Immuno Sorbent Assay):
抗原または抗体を使った免疫学的测定法の1つ。试料溶液中に含まれる目的の抗原または抗体を、特异抗体あるいは抗原で捕捉し、酵素反応を利用して検出および定量を行う。

*4 イムノクロマト法:
抗原抗体反応と毛细管现象を応用した免疫测定试薬。简単な操作で病原体などを目视で検出することが可能であり、既にインフルエンザウイルスや妊娠诊断などで実用化されている。


 ※本研究は、国立研究開発法人日本医疗研究開発機構(AMED)の新興?再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の診断法開発に資する研究 (研究代表者:国立感染症研究所 感染病理部 鈴木忠樹部長)」の支援を受けて行われました。また、抗体の開発およびスクリーニングは関東化学株式会社との共同研究として実施されました。

お问合わせ先

研究?产学连携推進課長  山﨑 理絵

以下、メールアドレスにご连络をお愿い致します。

(取材等に関するお问い合わせ)
E-mail:kenkyupr@yokohama-cu.ac.jp

(製品化に関する企業様からのお问い合わせ)
E-mail:sanren@yokohama-cu.ac.jp