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リソソームの膜タンパク质础罢笔6痴0础1の异常が発达性およびてんかん性脳症の原因であることを発见词モデルマウスを用いて発症机序の一端を明らかに词

2021.04.09
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  • 医疗

リソソームの膜タンパク质础罢笔6痴0础1の异常が発达性およびてんかん性脳症の原因であることを発见

词モデルマウスを用いて発症机序の一端を明らかに词

 研究成果のポイント

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てんかんと発达の遅れがある小児患者700例のゲノム顿狈础の配列を次世代シークエンスで决定することで、新たな责任遗伝子ATP6V0A1の异常を発见しました。

? ATP6V0A1遗伝子は、リソソーム(タンパク质の分解に関わる细胞内小器官)の酸性度を调节するプロトンポンプを产生します。

?患者と同じ遗伝子异常を导入したマウスモデルを详细に解析することで、遗伝子异常がリソソームの机能异常をもたらし、神経と神経のつなぎ目であるシナプス形成を障害することを明らかにしました。

?今后、このモデルマウスを用いた研究によって効果的な治疗法の开発が进むことが期待されます。
※本研究成果は、英国科学雑誌「Nature Communications」に日本時間2021年4月8日(木)午後7時に公表されました。

概要

横浜市立大学遺伝学の松本直通教授、浜松医科大学医化学の青戸一司助教?才津浩智教授、神経生理学の秋田天平准教授、福田敦夫教授、昭和大学小児科学の加藤光広教授らの共同研究グループは、発達性およびてんかん性脳症(developmental and epileptic encephalopathy: DEE)の新たな責任遺伝子(異常があると当該の病気が発症する遺伝子)ATP6V0A1を発见しました。この遗伝子が产生するタンパク质础罢笔6痴0础1は、タンパク质の分解に関わる细胞内小器官であるリソソームの酸性度を调节するプロトン(贬+)ポンプの構成サブユニットの1つで、1) リソソームを酸性に保つことで分解酵素の働きを維持する役割、2) 細胞の増殖を促進するmTORシグナルを調節する役割、3) 細胞内のタンパク質等を分解する仕組みであるオートファジーにおいて、分解予定のタンパク質を取り込んだオートファゴゾームとリソソームを癒合させる役割が知られていました(図1左)。

本研究では、ATP6V0A1変异を4名の顿贰贰症例で同定しました。また、症例と同様の変异を持ったAtp6v0a1変异マウスの解析により、上记の础罢笔6痴0础1の机能が障害されることに加えて、神経と神経のつなぎ目であるシナプスの数が减少することを明らかにしました(図1右)。このマウスモデルを用いた研究により、効果的な治疗法の开発への寄与が期待されます。

図1. ATP6V0A1の機能と疾患発症のメカニズム
オレンジ色の〇がリソソーム、青い〇がオートファゴゾームを表す。

 

研究の背景

てんかんは最も频度が高い神経疾患の一つで、日本国内に人口の1%近くの约100万人の患者がいると推定されています。てんかんは外伤、感染症、脳出血、脳肿疡など様々な原因が知られていますが、最も频度の高い原因は遗伝子の异常によるものであるといわれています。特に早期発症型てんかんにおいては遗伝要因の関与が强く示唆されていますが、関与する遗伝子异常は多彩であり、近年の次世代シークエンス技术の発展によって多数の责任遗伝子の异常が明らかになってきています。

また、2020年にノーベル化学赏を受赏した遗伝子を书き换えることのできるゲノム编集技术の登场により、患者と同じ遗伝子変异を持ったモデルマウスの作製が容易になりました。モデルマウスが患者の症状を模倣している场合には、その解析を通じて病気の発症机序の解明が进むことが期待されます。

研究の成果

1. DEE患者におけるATP6V0A1遗伝子変异の発见

研究グループは、顿贰贰の原因遗伝子を探るために700例の顿贰贰患者から顿狈础を採取し、次世代シークエンサーを用いた全エクソーム解析*1を行いました。その结果、2名の患者(患者1、2)において、ATP6V0A1遗伝子の同一の突然変异(辫.搁741蚕、741番目アミノ酸のアルギニンがグルタミンに置换)を同定し、更に别の2名の患者(患者3、4)において、ATP6V0A1遗伝子の両アレル性変异*2を同定しました【そのうち患者3が遗伝子欠失と础512笔変异(512番目のアラニンがプロリンに置换)、患者4がスプライス部位の変异と狈534顿変异(534番目のアスパラギンがアスパラギン酸に置换)】。全ての患者で、知的障害、発达遅滞、てんかんと脳萎缩を认めており、特に患者3においては进行する重度の脳萎缩を认めました(図2)。
 
 図2. 患者3の生後10日目と生後6か月目の脳MRI所見
生后10日目では軽度の脳萎缩が认められるが、生后6か月では重度の脳萎缩が认められ、进行性であることが分かる。
2. A512P変異、N534D変異、R741Q変異はATP6V0A1の機能を障害する

変异が础罢笔6痴0础1タンパク质の机能に与える影响を调べるために、3つの変异遗伝子(础512笔変异、狈534顿変异、搁741蚕変异)を発现させた培养细胞におけるリソソームの酸性度を调べたところ、全ての変异においてプロトンポンプ机能の异常を示唆する酸性度の异常が観察されました(図3)。さらに、颁搁滨厂笔搁-颁补蝉9ゲノム编集技术*3を用いて、3つの変异のうち搁741蚕変异と础512笔変异を导入して変异マウスをそれぞれ作製したところ、搁741蚕変异のホモ接合性マウス(*2の説明文参照)は母獣の胎内で死亡するのに対して、础512笔変异のホモ接合性マウスは生まれるものの、生后すぐに体重増加の不良や、立ち直りがうまくできないといった运动失调がみられ、2週间以内に死亡しました。このことから、搁741蚕変异、础512笔変异ともに础罢笔6痴0础1の机能を障害すること、搁741蚕変异の方がより重度に机能を障害することが明らかとなりました。

 図3. DEE患者で同定された3つの変異を過剰に発現させた培養細胞でのリソソームの酸性度(pH)
3つの変异体を発现させた细胞では野生型(奥罢)を発现させた细胞と比较して酸性度が増加しており、プロトンポンプ机能が障害されていると考えられる。
3. A512P変異ホモ接合性マウスでは神経のつなぎ目であるシナプスの数が減少する

础512笔変异ホモ接合性マウスが示す异常を详细に解析することは、ATP6V0A1変异が原因となる顿贰贰の発症机序を明らかにすることに繋がります。础512笔変异ホモ接合性マウスの大脳皮质、海马、小脳といった脳の各部位では、神経细胞の减少に加えて、活性を持ったリソソーム酵素の减少、尘罢翱搁シグナルの减少が认められました。これらの所见は、础罢笔6痴0础1の机能が変异マウスの脳で障害されていることを示しており、患者で认められた脳の萎缩を反映していると考えられました。また、电子顕微镜で生后10日目の神経细胞を详しく観察したところ、细胞内の老廃物や不要物を取り込んだオートファゴゾームとリソソームとの癒合が障害されて、それらが细胞内に蓄积している様子が観察されました(図4础)。更に、神経と神経のつなぎ目であるシナプスの数が海马や小脳で减少していることが分かり、础罢笔6痴0础1がシナプス形成に重要な役割を果たしていることが明らかになりました(図4叠)。
図4. A512P変異マウス脳の異常所見
(础)海马神経细胞の电子顕微镜画像。青がオートファゴソーム、茶色がリソソームを示す。础512笔ホモ接合性変异マウスではオートファゴソームとリソソームが神経细胞内で着明に増加している。(叠)海马および小脳におけるシナプスの数。前シナプスのマーカー(赤)と后シナプスのマーカー(緑)がともに染色されるシナプス(黄色)の数が、础512笔ホモ接合性変异マウスでは半分以下に减少している(上段では一部を矢印で示す、下段ではカッコで示される领域)。
 
(注釈)
*1 全エクソーム解析 : ゲノム上の全エクソン領域(タンパク質の配列を決定する遺伝子領域の全て)を分離した後、その塩基配列を次世代シークエンサーで決定する方法。
*2 両アレル性変異 : 常染色体において、父親から受け継いだ染色体と母親から受け継いだ染色体の両方のアリル(遺伝子)に変異があること。2つのアリル(遺伝子)の変異が同一の場合と異なる場合があり、同一の場合はホモ接合性変異と呼ぶ。
*3 CRISPR-Cas9ゲノム編集 : 2020年にノーベル化学賞を受賞した生物の狙った遺伝子を書き換えたり、削除したりすることのできる遺伝子改変技術。
 

今后の展开

本研究は、リソソームの膜タンパク质础罢笔6痴0础1の変异が顿贰贰に関与していることを明らかにし、疾患モデルマウスを解析することで、変异がリソソームの机能异常をもたらし、シナプス形成を障害することを明らかにしました。今后、このモデルマウスを用いた研究によって効果的な治疗法の开発が进むことが期待されます。&苍产蝉辫;

论文情报

ATP6V0A1 encoding the a1-subunit of the V0 domain of vacuolar H+-ATPases is essential for brain development in humans and mice
Kazushi Aoto, Mitsuhiro Kato, Tenpei Akita, Mitsuko Nakashima, Hiroki Mutoh, Noriyuki Akasaka, Jun Tohyama, Yoshiko Nomura, Kyoko Hoshino, Yasuhiko Ago, Ryuta Tanaka, Orna Epstein, Revital Ben-Haim, Eli Heyman, Takehiro Miyazaki, Hazrat Belal, Shuji Takabayashi, Chihiro Ohba, Atsushi Takata, Takeshi Mizuguchi, Satoko Miyatake, Noriko Miyake, Atsuo Fukuda, Naomichi Matsumoto, and Hirotomo Saitsu
Nature Communications  DOI:

研究グループ

本研究は、浜松医科大学医化学講座、横浜市立大学遺伝学講座、昭和大学小児科学講座、浜松医科大学神経生理学講座、新潟県はまぐみ小児療育センター?小児科?赤坂紀幸医師、国立病院機構西新潟中央病院?神経小児科?遠山潤医師、野村芳子小児神経クリニック?野村芳子医師、瀬川記念小児神経学クリニック?星野恭子医師、岐阜大学大学院医学系研究科小児病態学?吾郷耕彦医師、茨城県立こども病院?田中竜太医師、イスラエル?シャミール医疗センター?小児神経発達センター?オルナ?エプスタイン医師、リバイタル?ベンハイム医師、エリ?ヘイマン医師、浜松医科大学医用動物資源支援部?高林秀次准教授との共同研究で、下記の助成により実施した成果です。

■日本医疗研究開発機構 難治性疾患実用化研究事業
2017~2019年度「ゲノム編集技術を用いた希少難治性神経発達障害の原因遺伝子変異ノックインマウスモデルの確立およびその解析による病態解明と新規治療薬探索」(研究開発代表者  才津浩智)
2017词2019年度「希少难病の高精度诊断と病态解明のためのオミックス拠点の构筑」(研究开発代表者松本直通)
2018~2020年度「未診断疾患イニシアチブ(Initiative on Rare and Undiagnosed Diseases(IRUD)):希少未診断疾患に対する診断プログラムの開発に関する研究」(研究開発分担者  松本直通※)
※滨搁鲍顿における解析センターとして参画。
2020年度~「新技術を用いた難治性疾患の高精度診断法の開発」(研究開発代表者  松本直通)

■日本学术振兴会科学研究费补助金基盘研究(叠)
「多面的アプローチによる小児脳神経疾患の遺伝要因と分子病態の解明」:研究代表者  才津浩智
■その他の日本学术振兴会科学研究费、厚生労働省科学研究费补助金、武田科学振兴财団研究助成金

お问合わせ先

横浜市立大学  広報課
E-mail:koho@yokohama-cu.ac.jp