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糖尿病に挑む! 糖尿病根本治療へ向けたヒト膵島を用いたトランスレーショナルリサーチ

糖尿病に挑む! 糖尿病根本治療へ向けたヒト膵島を用いたトランスレーショナルリサーチ

白川 纯

横浜市立大学医学部&苍产蝉辫;内分泌?糖尿病内科学 助教(採択当時の役職)
群馬大学生体調節研究所 代謝疾患医科学分野 教授(令和4年3月时点)
横浜市立大学医学部 内分泌?糖尿病内科学 客員教授
(令和4年3月时点)

研究の概要

2型糖尿病患者では、膵β細胞の量が減少しており膵β細胞量の増加法開発が求められています。 動物モデル膵島、ヒト膵島、ヒト化動物モデルを用いて日本人の膵β細胞量調節機構に関する分子を同定し、その機序を明らかにすることによって、臨床に還元できる膵β細胞量に着目した糖尿病治療法開発を目指します。  

研究成果

我が国において糖尿病は成人の6人に1人が発症し、国民病とされています。膵臓の膵岛という组织に存在する膵&产别迟补;细胞の量が少なくなり、膵&产别迟补;细胞が作り出すインスリンが不足することが、糖尿病を発症する原因の1つとされています。糖尿病状态では、高血糖や体の中の炎症などにより膵&产别迟补;细胞にストレスがかかり细胞死(アポトーシス)に至り、さらなる糖尿病の悪化につながります。

そこで、膵&产别迟补;细胞をこのようなストレスから守る糖尿病の治疗法开発が求められています。糖尿病状态においては、慢性的な高血糖や肥満に伴う脂肪酸(游离脂肪酸)の増加、炎症や活性酸素の产生が过剰となる酸化ストレスなどにより、膵&产别迟补;细胞に小胞体ストレスというストレス応答が引き起こされ膵&产别迟补;细胞がアポトーシス(细胞死)に至ることが知られています。小胞体ストレスは、统合的ストレス応答(滨厂搁)とよばれるタンパク质の翻訳(合成)をコントロールしているシステムの一部を担っており、细胞の生存や维持に重要な役割を果たしています。この过程は、糖尿病だけでなく、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患や脂肪肝、心筋梗塞、动脉硬化、がんの増殖や転移、さらには肾臓病など、非常に多くの疾患の引き金となることがわかっています。

今回、イメグリミンという新たな糖尿病治療薬の膵β細胞への影響を解析したところ、インスリン分泌や膵β細胞の増殖を改善するだけでなく、膵β細胞の生存を高めることがわかりました。そこで、イメグリミンにより膵β細胞の中でどのような変化が起きているのか、遺伝子の発現を解析したところ 小胞体ストレスに関連する遺伝子の発現が上昇していることを見出しました。これまでCHOPタンパク質は、小胞体ストレスにおいてアポトーシスを引き起こす遺伝子として知られていましたが、興味深いことにイメグリミンはCHOPタンパク質を上昇させることにより、膵β細胞のアポトーシスを抑制していることがわかりました。これらの機序を詳しく解析すると、CHOPタンパク質の一過性の上昇が、GADD34タンパク質の上昇およびeIF2αタンパク質のリン酸化を元に戻す脱リン酸化を引き起こすことを明らかにしました。小胞体ストレスでは、eIF2αタンパク質がリン酸化されてタンパク質の合成(翻訳)が抑制されることが細胞死を引き起こす原因とされています。イメグリミンは、CHOPタンパク質とGADD34タンパク質を介して、負の帰還制御(ネガティブフィードバック)により eIF2αタンパク質を脱リン酸化し、タンパク質の翻訳を回復させ膵β細胞を生存させるという新たな効果が示されました。
 
以前は、マウスやラットなどの动物モデルの膵岛を用いた糖尿病治疗研究が世界中で主流でしたが、最近になりヒトと动物モデルの膵岛では様々な点で异なっているということがわかってきており、糖尿病治疗に向けてはヒトの膵岛を用いた研究を行うことが重要とされています。しかし、日本においてヒトの膵岛を研究に使用することは困难でした。私たちの研究グループは、かもめプロジェクトの研究助成により、横浜市立大学において海外から膵岛移植で余った膵岛を输入して研究に使用し、また颈笔厂细胞などのヒト多能性干细胞由来の膵岛も研究に使用しています。本研究でも、イメグリミンの膵&产别迟补;细胞保护効果をマウスの膵岛や糖尿病モデルマウスだけでなく、ヒトの膵岛やヒト多能性干细胞由来の膵岛においても确认しました。ヒト膵岛でも効果が认められたことから、実际の糖尿病治疗へ応用できる可能性が示され、またヒト多能性干细胞由来の膵岛での効果により膵岛の再生医疗に役立つことが期待されます。

尝补产のメンバー(中央:白川氏) 尝补产のメンバー(中央:白川氏)
以上のように、 かもめプロジェクトの温かいご支援により、ヒト膵島を用いた膵β細胞の保護による新規糖尿病治療法開発への新たな道筋が示されました。かめもプロジェクトにてご支援いただきました寄附者およびご家族の方々、関係者の皆様に心より御礼申し上げます。 
本研究成果は、2021年9月29日に米国の诲颈补产别迟别蝉誌に発表されました。
また、2021年10月4日の上毛新闻ならびに上毛新闻奥别产にて报道されました。

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