2011.03.24
- プレスリリース
- 研究
~英科学雑誌『狈补迟耻谤别』(3月24日号)に掲载~
横浜市立大学先端医科学研究センター及び附属病院 小川毅彦准教授(泌尿器病态学?洼田吉信教授)らの研究グループは、培养条件下でマウスの精子干细胞から精子产生できる技术开発に世界で初めて成功しました。この技术を発展させ、培养条件下でのヒト精子形成が可能になれば、现在有効な治疗法のない男性不妊症(精子形成不全)の病态解明や治疗法の开発につながることが期待できます。この研究は、理化学研究所バイオリソースセンター?小仓淳郎教授らのグループとの共同研究による成果です。
| ☆研究成果のポイント ○世界で初めて、培养下で哺乳类の精子干细胞から精子を造り、健常な产仔に成功しました。 ○精巣组织を冻结保存し、解冻后の精子产生にも成功しました。 |
研究概要
精子形成は、ヒトでは64日间、マウスでは35日间という长期にわたる细胞分裂?分化の过程です。この精子形成を培养条件下で再现しようという试みは、歴史的には约一世纪前にさかのぼりますが、哺乳类においては今まで成功例はありません。またそのことが、精子形成障害に起因する男性不妊症临床の発展の妨げになっていました。
研究グループは、培養条件下(in vitro)で精子形成を再現できれば、精子形成のメカニズムや精子形成障害の病態の解明に貢献できると考え、数年前からマウスをモデル動物とした研究を開始しました。精子形成にはセルトリ細胞※1を始めとした周囲の体細胞が重要であり、細胞を遊離して培養する細胞培養法よりも、精巣組織の構造がもつ特性をそのまま生かす方が有利であると考え、器官培養法という古典的な手法を再検討することから始めました。器官培養法の王道である気相液相境界面培養法(Gas-liquid interphase method)※2を改良し、寒天ゲル上に精巣组织片を置くだけの単纯な方法を採用しました(図1)。また、精子形成の进行を简便にモニターできる手段として、础肠谤-骋贵笔と骋蝉驳2-骋贵笔という2系统のトランスジェニックマウス※3を用いました。これらのマウスの生殖细胞は减数分裂の特定の时期に骋贵笔※4を発现し、それらは培养実験を継続しながら実体顕微镜で観察が可能です(図2)。様々な培养条件を検讨した结果、培养液の组成が重要であることを再确认し、改良の末减数分裂が完了できることを见出しました。さらに生后间もない精巣组织を培养し、精原干细胞が分化して精子が产生できることも确认しました(図3)。そこで产生された精子を用いて顕微授精実験※5を行ない、健康な产仔を得ることに成功しました(図4)。さらにそれらの仔マウスは成长し、自然交配にて孙世代の子孙も产生したことから、生殖能も正常であることが确认されました。また、精巣组织を冻结保存し、解冻后に同様の培养をおこなっても精子产生できることがわかりました。この精巣组织の冻结保存はがん患者の生殖能保存や、生殖医疗の现场への応用も将来的に期待されます。
In vitroにおいて哺乳類の精子形成が完全に遂行され、その精子から産仔が得られたことは世界初の成果です。さらなる改良により、マウス以外の動物やヒトの精子形成もin vitroで完成できると思われます。この技術を応用することにより精子形成の詳細なメカニズムが解明され、男性不妊症の診断?治療にも貢献できると期待します。
※1 セルトリ细胞: 精上皮の基底侧から管腔侧に向かって伸びる柱状の细胞。精细胞の支持、栄养供给、种々のタンパク质の分泌などの机能を有する。
※2 気相液相境界面培养法: 组织片を気相と液相(培养液)の境界部位に置き、酸素供给と栄养供给のバランスを図った培养方法。
※3 トランスジェニックマウス: 外来遗伝子が导入された遗伝子改変マウス。
※4 GFP(Green fluorescence protein): クラゲ由来の蛋白質で、励起光を当てると緑色の蛍光を発する。
※5 顕微授精: ガラス针により精子を卵に注入して授精させる方法。
研究グループは、培養条件下(in vitro)で精子形成を再現できれば、精子形成のメカニズムや精子形成障害の病態の解明に貢献できると考え、数年前からマウスをモデル動物とした研究を開始しました。精子形成にはセルトリ細胞※1を始めとした周囲の体細胞が重要であり、細胞を遊離して培養する細胞培養法よりも、精巣組織の構造がもつ特性をそのまま生かす方が有利であると考え、器官培養法という古典的な手法を再検討することから始めました。器官培養法の王道である気相液相境界面培養法(Gas-liquid interphase method)※2を改良し、寒天ゲル上に精巣组织片を置くだけの単纯な方法を採用しました(図1)。また、精子形成の进行を简便にモニターできる手段として、础肠谤-骋贵笔と骋蝉驳2-骋贵笔という2系统のトランスジェニックマウス※3を用いました。これらのマウスの生殖细胞は减数分裂の特定の时期に骋贵笔※4を発现し、それらは培养実験を継続しながら実体顕微镜で観察が可能です(図2)。様々な培养条件を検讨した结果、培养液の组成が重要であることを再确认し、改良の末减数分裂が完了できることを见出しました。さらに生后间もない精巣组织を培养し、精原干细胞が分化して精子が产生できることも确认しました(図3)。そこで产生された精子を用いて顕微授精実験※5を行ない、健康な产仔を得ることに成功しました(図4)。さらにそれらの仔マウスは成长し、自然交配にて孙世代の子孙も产生したことから、生殖能も正常であることが确认されました。また、精巣组织を冻结保存し、解冻后に同様の培养をおこなっても精子产生できることがわかりました。この精巣组织の冻结保存はがん患者の生殖能保存や、生殖医疗の现场への応用も将来的に期待されます。
In vitroにおいて哺乳類の精子形成が完全に遂行され、その精子から産仔が得られたことは世界初の成果です。さらなる改良により、マウス以外の動物やヒトの精子形成もin vitroで完成できると思われます。この技術を応用することにより精子形成の詳細なメカニズムが解明され、男性不妊症の診断?治療にも貢献できると期待します。
※1 セルトリ细胞: 精上皮の基底侧から管腔侧に向かって伸びる柱状の细胞。精细胞の支持、栄养供给、种々のタンパク质の分泌などの机能を有する。
※2 気相液相境界面培养法: 组织片を気相と液相(培养液)の境界部位に置き、酸素供给と栄养供给のバランスを図った培养方法。
※3 トランスジェニックマウス: 外来遗伝子が导入された遗伝子改変マウス。
※4 GFP(Green fluorescence protein): クラゲ由来の蛋白質で、励起光を当てると緑色の蛍光を発する。
※5 顕微授精: ガラス针により精子を卵に注入して授精させる方法。
*この研究は、文部科学省科学研究费補助金 新学術領域研究「配偶子幹細胞制御機構」および基盤研究(C)、横浜市立大学先端医科学研究センター研究開発プロジェクト、横浜総合医学振興財団からの研究補助金により行われました。