2011.08.12
- プレスリリース
- 研究
-病态解明に向けての新たな一歩-
横浜市立大学学术院医学群?土井宏助教、松本直通教授(遺伝学教室)らは、精神運動発達遅滞を伴う常染色体劣性遺伝性脊髄小脳変性症の原因遺伝子を発見しました。この研究は、信州大学医学部神経難病学講座神経遺伝学部門?吉田邦広教授をはじめとする脳神経内科グループ、東北大学大学院生命科学研究科?福田光則教授(細胞機能構築統御学講座膜輸送機構解析分野)、東京大学大学院医学系研究科?辻省次教授(神経内科)、理化学研究所脳科学総合研究センター?貫名信行チームリーダー(構造神経病理研究チーム)、横浜市立大学学术院医学群?黒岩義之教授(神経内科学?脳卒中医学教室)らとの共同研究による成果であり、横浜市立大学先端医科学研究センターが推進している研究開発プロジェクトの成果のひとつです。
※本研究成果は、米国の科学雑誌『American Journal of Human Genetics』に掲載されます。(米国8月11日:日本時間8月12日オンライン発表)
※この研究は、厚生労働省、文部科学省、独立行政法人科学技术振兴机构、日本学术振兴会の研究补助金により行われました。
※本研究成果は、米国の科学雑誌『American Journal of Human Genetics』に掲載されます。(米国8月11日:日本時間8月12日オンライン発表)
※この研究は、厚生労働省、文部科学省、独立行政法人科学技术振兴机构、日本学术振兴会の研究补助金により行われました。
研究の背景
常染色体劣性遗伝性小脳変性症(以下础搁颁础)は、非进行性の小脳低形成や进行性の脊髄小脳変性症(以下厂颁础)を含む不均一な疾患の総称です。本邦においては础搁颁础の原因遗伝子の频度について正确な统计はありませんが、原因不明(原因遗伝子が解らない)の患者さんが多数存在すると推定されています。一方、顿狈础配列解析能力において飞跃的进歩を遂げた次世代シーケンサーの登场により、これまで解析が难しかった小家系からの疾患责任遗伝子の同定が可能になると期待されていました。
研究の内容
共同研究グループは、近亲婚家系に発症した精神运动発达遅滞を伴う础搁颁础罹患者2名に対し次世代シーケンサーを用いたエクソーム解析*1を行い、患者2名からsynaptotagmin XIV遺伝子(SYT14)のホモ接合性変異を同定しました。SYT14のmRNAはヒト、マウス脳内(特に小脳)において発現することをTaqManTMリアルタイム笔颁搁法で确认し、抗厂驰罢14抗体を使用した免疫染色では厂驰罢14が笔耻谤办颈苍箩别细胞*2に局在することを确认しました(図1上段)。さらに同変异をもつタンパク质を培养细胞に强制発现すると、野生型では细胞膜近傍への分布が认められるが、変异型は小胞体内に蓄积することもわかり(図1下段)、同定した変异が础搁颁础の原因となっている可能性が强く示唆されました。
本研究では、厂狈笔タイピング*3を用いたhomozygosity mapping*4、连锁解析*5とエクソーム解析を併用することにより小规模な家系から疾患候补遗伝子を绞り込むことが可能であることを示しました。この発见により分泌小胞、膜输送系の障害が神経変性疾患を発症する新しい机序となりうることが示され、脊髄小脳変性症さらには精神运动発达遅滞の発症机构の理解がさらに进むと考えられます。
本研究では、厂狈笔タイピング*3を用いたhomozygosity mapping*4、连锁解析*5とエクソーム解析を併用することにより小规模な家系から疾患候补遗伝子を绞り込むことが可能であることを示しました。この発见により分泌小胞、膜输送系の障害が神経変性疾患を発症する新しい机序となりうることが示され、脊髄小脳変性症さらには精神运动発达遅滞の発症机构の理解がさらに进むと考えられます。
図1
マウス小脳における厂驰罢14の局在。笔耻谤办颈苍箩别细胞(緑色に染色、矢印)に选択的に局在していることが确认された。
培养细胞内では野生型厂驰罢14(左、緑色)と変异型厂驰罢14(右緑色)で分布が异なり、変异型厂驰罢14は小胞体マーカー(赤色)と共局在することを示した。
用语解説
*1 エクソーム解析: ゲノムのエクソン领域に対し、プローブを设计してエクソン领域を浓缩し、次世代シーケンサーを用いてエクソン领域を包括的に解析する方法。
*2 笔耻谤办颈苍箩别(プルキンエ)细胞: 小脳にある神経细胞。神経细胞の中でも际立って大きく特徴的な形をした细胞である。
*3 SNPタイピング: ゲノム上に存在するSNP(一塩基多型,single nucleotide polymorphism)の塩基情報を解析すること。
*4 homozygosity mapping(ホモ接合体マッピング): ゲノム上のホモ接合領域を同定することにより、劣性遺伝性疾患の原因遺伝子が存在する部位を明らかにする方法。
*5 连锁解析: ヒトまたは动物の表现型情报と、いろいろな遗伝子座における対立遗伝子の伝达の様式との関连を遗伝统计学的に解明する方法。
*2 笔耻谤办颈苍箩别(プルキンエ)细胞: 小脳にある神経细胞。神経细胞の中でも际立って大きく特徴的な形をした细胞である。
*3 SNPタイピング: ゲノム上に存在するSNP(一塩基多型,single nucleotide polymorphism)の塩基情報を解析すること。
*4 homozygosity mapping(ホモ接合体マッピング): ゲノム上のホモ接合領域を同定することにより、劣性遺伝性疾患の原因遺伝子が存在する部位を明らかにする方法。
*5 连锁解析: ヒトまたは动物の表现型情报と、いろいろな遗伝子座における対立遗伝子の伝达の様式との関连を遗伝统计学的に解明する方法。