2011.12.30
- プレスリリース
- 研究
—脳性麻痺の遗伝的要因の解明—
横浜市立大学学术院医学群?米田祐梨子(大学院生)?才津浩智准教授(遺伝学教室)らは孔脳症の原因遺伝子を発見しました。この研究は、厚生労働省難治性疾患克服研究事業(孔脳症の遺伝的要因の解明)のもと、宮城県拓桃医療療育センター?萩野谷和裕副院長、森之宮病院小児神経科?荒井洋部長らとの共同研究で行われた研究成果であり、横浜市立大学先端医科学研究センターが推進している研究開発プロジェクトの成果のひとつです。
| ☆研究成果のポイント |
|---|
|
○孔脳症は胎生期における梗塞や出血といった脳循环障害により発生し、脳性麻痺の原因となる ○脉管构造で発现している基底膜タンパク质である滨痴型コラーゲンα2锁をコードするCOL4A2変异を孔脳症患者に同定 ○COL4A2遗伝子変异は、胎児期の脳出血による脳性麻痺(孔脳症)から左上肢の軽微な単麻痺や无症候性のキャリアーまで、幅広い表现型を引き起こす |
研究概要
孔脳症は、大脳半球内に脳室との交通を有する嚢胞又は空洞がみられる先天异常であり、胎生期における梗塞や出血といった脳循环障害により発生すると推测されています。临床的には、脳性麻痺(多くは半身麻痺)、てんかん及び精神遅滞を引き起こす重篤な疾患です。诸外国では、発症率は10万人に0.5-3.5人程度とされていますが、日本での正确な频度は不明です。共同研究グループは、滨痴型コラーゲンα1锁をコードするCOL4A1変异が孔脳症を起こすことが报告されていたことから、α1锁とヘテロトリマーを形成し、血管基底膜の安定性に関与する滨痴型コラーゲンα2锁(COL4A2遗伝子)に注目しました。そして日本人孔脳症患者35名でCOL4A2の変异解析を行い、2名においてCOL4A2遗伝子のヘテロ接合性変异を同定しました。滨痴型コラーゲンには、骋濒测-齿补补-驰补补リピート(齿补补及び驰补补は同一又は异なる任意のアミノ酸を示す)が存在し、このリピート领域で2つのα1锁と1つのα2锁が3重らせん构造を形成します。骋濒测-齿补补-驰补补リピートの骋濒测(グリシン)の変异は、ヘテロトリマー形成の异常を引き起こすことがよく知られており、2つの変异もこの骋濒测の変异で、α1α1α2锁の形成异常を引き起こすことが予想されました。2名のうちの1名は胎児期に脳出血を认めた孤発例であり、COL4A2変异は新生突然変异でした。もう一方は家族例であり、孔脳症の患児、左上肢の軽微な単麻痺を呈する母亲、先天性の片麻痺を呈する母方の伯父、明らかな临床所见を认めない母方祖父にCOL4A2変异を认めました。头部惭搁滨画像では片侧性あるいは両侧性の孔脳症が认められ、その程度も様々でした。このことから、COL4A2変异は片侧性から両侧性まで、また胎児期の脳出血による脳性麻痺から左上肢の軽微な単麻痺や无症候性のキャリアーまで、幅広い表现型を引き起こすと考えられます(図1)。
本研究は孔脳症の新たな原因遗伝子を明らかにしたばかりでなく、脳性麻痺の背景に遗伝的素因が存在することを示しました。また、COL4A2変异が胎児期から成人期における脳血管障害のリスクになることを示唆しています。今后、COL4A2変异が见つかった方の脳出血予防法等の、変异に基づいた治疗?管理法の确立が期待されます。
本研究は孔脳症の新たな原因遗伝子を明らかにしたばかりでなく、脳性麻痺の背景に遗伝的素因が存在することを示しました。また、COL4A2変异が胎児期から成人期における脳血管障害のリスクになることを示唆しています。今后、COL4A2変异が见つかった方の脳出血予防法等の、変异に基づいた治疗?管理法の确立が期待されます。
(A) 患者1および(B)患者2の家系図。黒塗りは先天性片麻痺を有することを示し、灰色は画像上異常が認められたことを表す。患児を矢印で示す。変異塩基を赤で示している。患者1の変異は、左上肢の軽微な単麻痺を呈する母親、先天性の片麻痺を呈する母方の伯父、明らかな臨床所見を認めない母方祖父で認められた。患者2の変異はご両親には認められず、新生突然変異であった。(C) 患者1とその母親のT2強調MRI横断像(左、真ん中)と患者2のCT画像(右)。右側脳室の拡大(左、真ん中)と両側脳室の拡大(右)が認められた。
※本研究成果は、米国の科学雑誌『American Journal of Human Genetics』に掲載されます。(米国12月29日:日本時間12月30日オンライン発表)
※この研究は、厚生労働省、文部科学省、独立行政法人科学技术振兴机构、日本学术振兴会の研究补助金により行われました。
※この研究は、厚生労働省、文部科学省、独立行政法人科学技术振兴机构、日本学术振兴会の研究补助金により行われました。