2021.12.01
- プレスリリース
- 研究
言語処理に関わる脳内ネットワークが アニメーション化で一目瞭然に
横浜市立大学医学部医学科脳神経外科学教室 園田真樹客員研究員(米国ウェイン州立大学 ミシガン小児病院 小児科?神経内科研究員兼任)、米国ウェイン州立大学 ミシガン小児病院 小児科?神経内科 浅野英司終身教授、同Brian H. Silverstein 研究員らの研究チームは、5歳以降の言語ネットワークにおける時空間ダイナミクスとその発達に関する新しい神経生物学的モデルを報告しました。このモデルは、言語処理を担う脳表領域の神経活動の強さ、その領域間の結びつきの強さ、そして、どの深部経路を介して神経情報を伝播するのかを6次元ダイナミックトラクトグラフィー*1解析技术を用いて、アニメーションとして可视化しました。(図1)
本研究成果は、英国の学术誌「叠搁础滨狈」に掲载されました。(日本时间2021年11月29日)
本研究成果は、英国の学术誌「叠搁础滨狈」に掲载されました。(日本时间2021年11月29日)
発表のポイント
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(図1)6次元でアニメ化された言语処理に関わる脳神経活动のダイナミクス
研究背景
会话中に言いたいことが口から素早くでるのは、我々の脳が各领域で复雑な言语情报を処理してくれているからです。言语処理を司る脳领域は离れて存在していることは古くから知られていますが、どれくらいの速度で、どの深部経路を伝って、脳领域间が情报を受け渡しているのかという脳内ネットワークについては依然として不明な点が多くありました。
そこで、37名の薬剤抵抗性てんかん患者から记録された3,401箇所の头盖内脳波を用いて、记録部位における机能的役割、记録脳表间の机能连结をそれぞれ解析しました。
そこで、37名の薬剤抵抗性てんかん患者から记録された3,401箇所の头盖内脳波を用いて、记録部位における机能的役割、记録脳表间の机能连结をそれぞれ解析しました。
研究内容
本研究では、脳表皮质の机能的役割は、音声で提示される质问文とその回答の间に记録される脳表脳波记録を解析することで评価しました。また、记録脳表间の机能的连结と神経伝播速度は、微弱な単発皮质电気刺激によって引き起こされる离れた部位での脳波反応を解析することで定量化しました。これらの解析情报を惭搁滨白质トラクトグラフィーと组み合わせ、言语処理に関わる脳皮质领域间の神経活动ネットワークの时空间ダイナミクスを、6次元ダイナミックトラクトグラフィーとして新たに提示しました。
従来の研究では、言语処理に関わる脳内ネットワークは、概念の模式図をもって説明されることが多く、その解釈も难しいことが多かったといえます。本研究では「6次元ダイナミックトラクトグラフィー」を提供する新しい解析技术を用いて、言语処理段阶ごとに脳内ネットワークとその神経活动伝播の様子を分かりやすいアニメーションという形で提供したことも着目すべき特徴の1つです。(図2)
また、本研究の解析结果から、5歳以降も年齢が高ければ高いほど、言叶の想起に関わる皮质脳领域间の结びつきがより强くなっていくことが明らかになりました。
従来の研究では、言语処理に関わる脳内ネットワークは、概念の模式図をもって説明されることが多く、その解釈も难しいことが多かったといえます。本研究では「6次元ダイナミックトラクトグラフィー」を提供する新しい解析技术を用いて、言语処理段阶ごとに脳内ネットワークとその神経活动伝播の様子を分かりやすいアニメーションという形で提供したことも着目すべき特徴の1つです。(図2)
また、本研究の解析结果から、5歳以降も年齢が高ければ高いほど、言叶の想起に関わる皮质脳领域间の结びつきがより强くなっていくことが明らかになりました。
(図2)言语课题中の脳表脳波、皮质-皮质间诱発电位(スペクトラル変调)を集団解析し、言语処理に関わる神経活动の时空间ダイナミクスを可视化した図。
左図では、聴覚性言语课题中のタイミング(左上段)から、脳皮质领域の机能的役割を以下の3群に分けて定量化した(左下段):闻いた质问文の音を処理する段阶(第2主成分:ピンク)、闻いた质问文への回答を想起する段阶(第3主成分:緑)、発声を行う段阶(第1主成分:黄色)。
中央図は、回答を想起する段阶に活动している侧头叶から侧头叶外に向かう皮质领域からの神経活动伝播を示し、右図は、回答を想起する段阶に活动している侧头叶外から侧头叶に向かう皮质领域からの神経活动伝播を示している。赤い白质线维は、回答を想起する段阶に神経活动している领域同士をつなぐ投射経路を示し、青い白质线维は同段阶に神経活动する领域から神経减衰している领域への投射経路を示す。同じ言语処理の段阶に活动している皮质领域间でより强い结合性(结合性の强さ=白い球の大きさ)を认めた。侧头叶から侧头叶外に向かう神経活动の伝播経路は、弓状束(矢印)が担っていた。一方、侧头叶外から侧头叶に向かう神経活动の伝播経路も、主に弓状束が担っていたが、一部、鉤状束(矢头)を介した神経活动の伝播も认めた。
左図では、聴覚性言语课题中のタイミング(左上段)から、脳皮质领域の机能的役割を以下の3群に分けて定量化した(左下段):闻いた质问文の音を処理する段阶(第2主成分:ピンク)、闻いた质问文への回答を想起する段阶(第3主成分:緑)、発声を行う段阶(第1主成分:黄色)。
中央図は、回答を想起する段阶に活动している侧头叶から侧头叶外に向かう皮质领域からの神経活动伝播を示し、右図は、回答を想起する段阶に活动している侧头叶外から侧头叶に向かう皮质领域からの神経活动伝播を示している。赤い白质线维は、回答を想起する段阶に神経活动している领域同士をつなぐ投射経路を示し、青い白质线维は同段阶に神経活动する领域から神経减衰している领域への投射経路を示す。同じ言语処理の段阶に活动している皮质领域间でより强い结合性(结合性の强さ=白い球の大きさ)を认めた。侧头叶から侧头叶外に向かう神経活动の伝播経路は、弓状束(矢印)が担っていた。一方、侧头叶外から侧头叶に向かう神経活动の伝播経路も、主に弓状束が担っていたが、一部、鉤状束(矢头)を介した神経活动の伝播も认めた。
今后の展开
本研究は、言语処理に携わっている离れた脳皮质领域同士が、どの深部経路で、どれほどの速度で、どの方向に向かって、神経情报を伝达できるのかを一目瞭然にした点で神経科学分野において非常に意义は大きいと考えます。研究グループでは、本研究で用いた解析技术を応用し、より安全で有効な脳神経外科诊断?治疗方法の研究も进めていく予定で、医疗分野への技术応用が期待されます。
论文情报
タイトル: Six-dimensional dynamic tractography atlas of language connectivity in the developing brain
著者: Masaki Sonoda, Brian H. Silverstein, Jeong-won Jeong, Ayaka Sugiura,
Yasuo Nakai, Takumi Mitsuhashi, Robert Rothermel, Aimee F.
Luat, Sandeep Sood and Eishi Asano
掲載雑誌: BRAIN
DOI: 10.1093/brain/awab225
著者: Masaki Sonoda, Brian H. Silverstein, Jeong-won Jeong, Ayaka Sugiura,
Yasuo Nakai, Takumi Mitsuhashi, Robert Rothermel, Aimee F.
Luat, Sandeep Sood and Eishi Asano
掲載雑誌: BRAIN
DOI: 10.1093/brain/awab225
用语説明
*1 6次元ダイナミックトラクトグラフィー:3次元的に脳内の神経线维走行を可视化する従来のトラクトグラフィーに、「记録皮质领域间の机能的関係性」、「走行线维の向きを持った机能的连结の强さ」と「神経伝播の速度」を加え、脳内ネットワークをアニメーションとして可视化したもの。