2021.12.13
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歯周病の治療が、大腸がんの病態に関連する細菌Fusobacterium nucleatumの動向に影響することを発見
横浜市立大学医学部 肝胆膵消化器病学教室 中島 淳教授、日暮 琢磨講師、吉原 努医師らの研究グループは、横浜市立大学附属病院 歯科?口腔外科?矯正歯科の來生 知診療教授らと共同で、大腸がんの発がんや進行に関連しているとされるフソバクテリウム?ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)という细菌が、歯周病*1の治疗により便中から减少することを临床研究において明らかにしました。フソバクテリウム?ヌクレアタムが减少することで、大肠がんの発がんや进行に対する新规予防法の开発の原动力となる可能性を示しています。
本研究成果は、Scientific reports誌に掲載されました。(2021年12月9日)
本研究成果は、Scientific reports誌に掲載されました。(2021年12月9日)
研究成果のポイント
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図1 口腔のフソバクテリウム?ヌクレアタム が、大腸のフソバクテリウム?ヌクレアタム に移行する可能性があるため、歯周病治療で便のフソバクテリウム?ヌクレアタム に影響がでたと考えられる。
研究背景
フソバクテリウム?ヌクレアタムは歯周病に関连する口腔内常在菌です。近年、フソバクテリウム?ヌクレアタムが大肠がんの発がんや进行と関连があると次々と报告されており、大肠がん研究で非常に注目される细菌として知られるようになってきました。また、歯周病の指标の1つである歯周ポケット*2の深さが4尘尘以上の割合は、45歳を越えると50%以上になり、多くの日本人が歯周病を抱えているといえます。また、歯周病は糖尿病や动脉硬化、あるいは脳卒中などの全身性の疾患と强く関连しており、歯周病への関心がより高まっています。
私たちの研究室では、以前、口腔内のフソバクテリウム?ヌクレアタムの菌株と大肠がん组织のフソバクテリウム?ヌクレアタムの菌株が同一である可能性を発表しました。フソバクテリウム?ヌクレアタムは歯周病に関连する常在菌であり、歯周病の治疗を行えば、大肠のフソバクテリウム?ヌクレアタムが低下すると仮説をたて、大肠がんの発がんや进行予防の研究に寄与するのではないかと考え、本研究を行いました。
私たちの研究室では、以前、口腔内のフソバクテリウム?ヌクレアタムの菌株と大肠がん组织のフソバクテリウム?ヌクレアタムの菌株が同一である可能性を発表しました。フソバクテリウム?ヌクレアタムは歯周病に関连する常在菌であり、歯周病の治疗を行えば、大肠のフソバクテリウム?ヌクレアタムが低下すると仮説をたて、大肠がんの発がんや进行予防の研究に寄与するのではないかと考え、本研究を行いました。
研究内容
大腸内視鏡検査を受け、大腸腫瘍を認めた患者さんの唾液や便、大腸腫瘍組織の一部を採取し、歯周病治療を約3ヶ月間受けていただきました。歯周病治療後に大腸腫瘍を切除し、その際に再度、唾液、便、腫瘍組織を採取しました。歯周病治療前後のこれらの検体のフソバクテリウム?ヌクレアタムの動向をdigital PCRという手法で調べたところ、歯周病治療が成功した患者さんでは、治療後に便のフソバクテリウム?ヌクレアタムが減少しましたが、歯周病が改善しなかった患者さんでは、減少しませんでした。唾液や大腸腫瘍組織については、歯周病が改善した患者さんにおいても、歯周病治療前後でフソバクテリウム?ヌクレアタムの減少は見られませんでした。一方で、異型度が強い腫瘍組織をもつ患者さんの便のフソバクテリウム?ヌクレアタムは低異型度の腫瘍組織のみの患者さんの便よりも多く検出され、腫瘍の進行に伴ってフソバクテリウム?ヌクレアタムが増加していくことが示唆されました。
図2 治疗により歯周病が改善すると治疗前の便中フソバクテリウム?ヌクレアタムと比较して、治疗后のフソバクテリウム?ヌクレアタムが减少した一方で、歯周病の改善がなかった患者さんは変化が见られなかった。
今后の展开
大肠がんの罹患数は日本において、男女合わせると悪性肿疡のうち第2位と非常に多数の患者が存在し、大肠がんの予防を行うことは喫紧の课题となっています。胃がんは、ピロリ菌を除菌することによって予防効果があると知られていますが、大肠がんについては、特定の微生物をターゲットにすることは确立されていません。本研究で得られた结果から、口腔内と大肠に存在するフソバクテリウム?ヌクレアタムは関连があり、歯周病治疗を适切に行えば、大肠がんの発がん予防や进行抑制に対して、恩恵を受けることができる可能性があります。しかしながら、なぜ歯周病治疗で便のフソバクテリウム?ヌクレアタムが减少したのか、その机序が解明できておらず、今后の検讨课题です。また、进行大肠がんの患者さんは対象としていないため、今后はこういった患者さんへの歯周病治疗の恩恵についても検讨していく必要があると考えています。
用语説明
*1 歯周病:細菌感染によって、歯茎に炎症を起こし、歯を支える骨が溶けてしまう病気のことである。歯周病が進行すると、歯を失う原因になる。
*2 歯周ポケット:歯と歯茎の間にある溝のことをいう。歯周病になると歯周ポケットは深くなる。
*2 歯周ポケット:歯と歯茎の間にある溝のことをいう。歯周病になると歯周ポケットは深くなる。
研究费
本研究は、JSPS科研費基盤研究(C)、日本医疗研究開発機構(AMED)革新的がん医疗実用化研究事業の支援を受けて実施されました。
论文情报
タイトル: A prospective interventional trial on the effect of periodontal treatment on Fusobacterium nucleatum abundance in patients with colorectal tumours
著者: Tsutomu Yoshihara, Mitomu Kioi, Junichi Baba, Haruki Usuda, Takaomi Kessoku, Michihiro Iwaki, Tomohiro Takatsu, Noboru Misawa, Keiichi Ashikari, Tetsuya Matsuura, Akiko Fuyuki, Hidenori Ohkubo, Mitsuharu Matsumoto, Koichiro Wada, Atsushi Nakajima, Takuma Higurashi
掲载雑誌: Scientific reports
顿翱滨:
著者: Tsutomu Yoshihara, Mitomu Kioi, Junichi Baba, Haruki Usuda, Takaomi Kessoku, Michihiro Iwaki, Tomohiro Takatsu, Noboru Misawa, Keiichi Ashikari, Tetsuya Matsuura, Akiko Fuyuki, Hidenori Ohkubo, Mitsuharu Matsumoto, Koichiro Wada, Atsushi Nakajima, Takuma Higurashi
掲载雑誌: Scientific reports
顿翱滨:
参考文献など
1) 厚生労働省 e-ヘルスネット
2) Rohani, B. Oral manifestations in patients with diabetes mellitus. World J. Diabetes 10, 485-489, doi:10.4239/wjd.v10.i9.485 (2019).
3) Chistiakov, D. A., Orekhov, A. N. & Bobryshev, Y. V. Links between atherosclerotic and periodontal disease. Exp. Mol. Pathol. 100, 220-235, doi: 10.1016/j.yexmp.2016.01.006 (2016).
4) Sen, S. et al. Periodontal disease, regular dental care use, and incident ischemic stroke. Stroke 49, 355-362, doi: 10.1161/STROKEAHA.117.018990 (2018).
5) Komiya, Y. et al. Patients with colorectal cancer have identical strains of Fusobacterium nucleatum in their colorectal cancer and oral cavity. Gut 68, 1335-1337, doi: 10.1136/gutjnl-2018-316661 (2019).
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5) Komiya, Y. et al. Patients with colorectal cancer have identical strains of Fusobacterium nucleatum in their colorectal cancer and oral cavity. Gut 68, 1335-1337, doi: 10.1136/gutjnl-2018-316661 (2019).
问い合わせ先
横浜市立大学 広報課
贰-尘补颈濒:koho@yokohama-cu.ac.jp