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横浜市立大学 YOKOHAMA CITY UNIVERSITY

シスチン尿症の原因となる タンパク質生合成異常のしくみを解明

2022.05.17
  • プレスリリース
  • 研究
  • 理学部

シスチン尿症の原因となる タンパク質生合成異常のしくみを解明

横浜市立大学大学院生命医科学研究科 生体膜ダイナミクス研究室 李勇燦助教(研究当時:マックスプランク生物物理学研究所 博士研究員)と東京慈恵会医科大学 永森收志准教授、Pattama Wiriyasermkul助教らによる国際共同研究グループは、シスチン尿症に関わるアミノ酸輸送体(トランスポーター)*1である谤叠础罢-产0,+础罢の生合成における重要なプロセスを発见しました。
今回の研究により、长年谜とされてきたいくつかのシスチン尿症の病态変异が説明され、分子?原子レベルでの新たな治疗法の可能性が示されます。
本研究成果は「Nature Communications」に掲載されました。(日本時間2022年5月16日18時)
研究成果のポイント

  • シスチン输送体の生合成は小胞体*2でのカルシウム结合と超分子复合体の形成を必要とする
  • 生合成メカニズムの発见は、これまで知られていなかったシスチン尿症の病态変异の説明につながる
  • 滨型シスチン尿症の治疗法としての可能性を见出した

研究背景

シスチン尿症は、世界各地で見られる腎臓の遺伝性疾患の一種で、7,000人に1人(本邦では2万人に1人)の頻度で発症します。血尿、腹痛、腰背部痛、尿路感染症状を10?30歳で発症する事が多く、腎不全を来すことがあります。シスチン尿症は、シスチンと二塩基性アミノ酸のトランスポーターである谤叠础罢-产0,+础罢の変异によって引き起こされ、再発性の尿路结石(シスチン结石)を引き起こします。肾臓でのシスチンの再吸収は、近位尿细管の各セグメントにおいて、2种类の输送系によってそれぞれ担われています(図1)。セグメント1-2では谤叠础罢-产0,+础罢が、セグメント3では谤叠础罢-础骋罢1がはたらきます。これらの输送体は、ヘテロ二量体アミノ酸トランスポーター(贬础罢)と呼ばれるタンパク质ファミリーに属し、制御サブユニットである糖タンパク质谤叠础罢が、触媒サブユニットである产0,+础罢あるいは础骋罢1と二量体を形成することで、シスチンを含むアミノ酸のトランスポーターとして机能します。谤叠础罢-产0,+础罢复合体に関しては、长い间研究が进められ、滨型シスチン尿症につながる谤叠础罢の変异が多数発见されています。しかし、病态の意味するところは未だ不明であり、输送の生理的なメカニズムとの関连は不明でした。
(図1)肾臓近位尿细管の各セグメント(厂1、厂2、厂3)ではたらくシスチン输送系の概念図

研究内容

研究グループは、クライオ电子顕微镜*3を用いた最先端の技术と复数の生化学?细胞生物学的手法を用いて、谤叠础罢-产0,+础罢の生合成と滨型シスチン尿症における小胞体カルシウムの役割を発见しました。グループは、超二量体と名付けられた2つの谤叠础罢-产0,+础罢复合体が二量体化している构造において、谤叠础罢の细胞外ドメインにカルシウムイオンが存在することを突き止めました。(図2)また、カルシウムの结合は、复合体を安定化させて小胞体で超二量体の生合成を完了させることで、谤叠础罢-产0,+础罢の细胞膜への局在と输送机能を促进させることを発见しました。一方で、カルシウムが结合しない変异を导入すると、滨型シスチン尿症変异体*4に见られるように、タンパク质が不安定になるなど、细胞膜局在が阻害されました。例えば、ヨーロッパで多く见られる罢216惭変异では、発症する理由がわかっていませんでしたが、変异によりカルシウム结合と超二量体化が阻害され、タンパク质が小胞体で捕捉され机能不全になることが明らかとなりました(図2)。また、超二量体を形成できない変异体に対して、さらなる改変を加えると、超二量体が回復しトランスポーターが正常に局在できるようになりました。このことは、タンパク质の局在异常によって起こる滨型シスチン尿症の治疗法开発につながる手がかりとなります。
(図2)カルシウムイオンによって安定化される谤叠础罢-产0,+础罢超分子复合体の构造と、シスチン尿症変异によるその异常

本研究が社会に与える影响

本研究は、トランスポーターが正しく働くために超分子复合体形成が必要であることを示しました。さらに、トランスポーター复合体の安定化因子としてのカルシウムの新しい役割も明らかとなりました。これにより、これまで长い间説明のつかなかったいくつかのシスチン尿症変异の分子病态が説明されます。これまで、シスチン尿症の治疗は水分の大量摂取や尿のアルカリ化、食事制限などの间接的な方法で行われてきました。本研究は、原子レベルでトランスポーターを直接标的とする新たな治疗法や、トランスレーショナルリサーチにつながります。また、小胞体カルシウムの役割は、膜タンパク质の生合成における普遍的な现象として、今后、より幅広い生命现象や疾患との関连で研究されることが期待されます。

研究费

本研究は、科研費(JP19K07373、JP21H03365、JP21K15031)、AMED(JP21gm0810010、JP21ek0310012、JP21lk0201112)、東洋紡バイオテクノロジー財団、Human Frontier Science Program、風戸研究奨励会、持田記念医学薬学振興財団の支援を受けて実施されました。

论文情报

タイトル: Ca2+-mediated higher-order assembly of heterodimers in amino acid transport system b0,+ biogenesis and cystinuria
著者: Yongchan Lee, Pattama Wiriyasermkul, Pornparn Kongpracha, Satomi Moriyama, Deryck J. Mills, Werner Kühlbrandt & Shushi Nagamori.
掲載雑誌: Nature Communications
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用语説明

*1 アミノ酸输送体(トランスポーター):
生体膜を介した、アミノ酸の出入りを担うタンパク质の総称。20种类以上あるアミノ酸のうち、それぞれに対して特异的なトランスポーターが存在する。1种类のアミノ酸に対して、复数のトランスポーターが割り当てられている场合もある。

*2 小胞体:
细胞内构造の一种。タンパク质の生合成とその品质管理、カルシウムの贮蔵などを担っている。

*3 クライオ电子顕微镜:
マイナス180度程度のごく冷たい温度で生体试料を冻结し、その构造を见ることのできる电子顕微镜や、それを用いた技术の総称。今回の研究では、クライオ电子顕微镜技术のうち、2017年にノーベル化学赏の受赏対象となった単粒子解析という手法を用いている。

*4 滨型シスチン尿症変异体:
シスチン尿症は病気の原因や程度により、滨型(あるいは础型)と非滨型(あるいは滨滨、滨滨滨型、もしくは叠型)に分类される。滨型は谤叠础罢の异常によるもの、非滨型は产0,+础罢の异常によるものであるとされている。

问い合わせ先

横浜市立大学 広报课
贰-尘补颈濒:koho@yokohama-cu.ac.jp


 

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