2025.06.13
- プレスリリース
- 研究
6月13日に一部修正しました
横浜市立大学大学院国际マネジメント研究科の准教授(COI-NEXT拠点Minds1020Lab研究開発課題6リーダー)と、産業医科大学産業生態科学研究所の永田 智久准教授との共同研究によって、働く人が「気分が沈む」「眠れない」といった心身の不調を抱えながら仕事を続けることで、日本全体では年間およそ7.6兆円の経済的な損失が生じていることが明らかになりました(図1)。
この损失额は日本の骋顿笔の1.1%に相当し、精神疾患の医疗费の7倍にも上ります。本研究は、全国2万7千人超の调査データをもとに、目に见えにくいメンタル不调の影响を金额で可视化したもので、公司や自治体が进める働く人の健康支援や今后の研究の発展にも大きな示唆を与えると期待されます。
本研究成果は、「Journal of Occupational and Environmental Medicine」に掲載されました(2025年5月28日)。
横浜市立大学大学院国际マネジメント研究科の准教授(COI-NEXT拠点Minds1020Lab研究開発課題6リーダー)と、産業医科大学産業生態科学研究所の永田 智久准教授との共同研究によって、働く人が「気分が沈む」「眠れない」といった心身の不調を抱えながら仕事を続けることで、日本全体では年間およそ7.6兆円の経済的な損失が生じていることが明らかになりました(図1)。
この损失额は日本の骋顿笔の1.1%に相当し、精神疾患の医疗费の7倍にも上ります。本研究は、全国2万7千人超の调査データをもとに、目に见えにくいメンタル不调の影响を金额で可视化したもので、公司や自治体が进める働く人の健康支援や今后の研究の発展にも大きな示唆を与えると期待されます。
本研究成果は、「Journal of Occupational and Environmental Medicine」に掲載されました(2025年5月28日)。
| 研究成果のポイント ● メンタル不調による損失額(7.6兆円)は精神疾患の医療費の7倍以上。 ● 「気分が沈む」「眠れない」などのメンタル不調がGDPの1.1%に相当する経済的損失を生んでいる。 ● 企業や行政に早期介入と支援体制の強化が求められる。 |
図1 メンタル不调による経済的损失と医疗费の比较
研究背景
近年、労働者のメンタルヘルスに起因する生产性の低下が、経済?社会に及ぼす影响として注目されています。中でも、出勤はしているものの心身の不调により本来のパフォーマンスが発挥できないプレゼンティーズム*1は、欠勤(アブセンティーズム*2)以上に企業?組織に大きな損失をもたらすことが指摘されています。しかし、こうした「隠れた損失(Hidden Cost)」は、医療費などと異なり統計的に可視化されにくく、政策決定や職場対策において十分に考慮されていません。
これまでの先行研究では、特定の公司や业种に限定したプレゼンティーズム损失の定量的评価や、うつ病など特定の诊断名に基づいた分析が多く、全国规模かつ多様なメンタルヘルス症状を含めた网罗的な経済损失の推计は限られていました。また、精神的な不调を自覚しながらも医疗机関を受诊していない层の影响は、従来の医疗ベースの研究では捉えきれていませんでした。
本研究では、メンタルヘルスに関连する主観的な症状(例:「気分が沉む」「眠れない」など)を有する労働者のプレゼンティーズムおよびアブセンティーズムを対象とし、それらがもたらす社会経済的损失を全国レベルで金额换算し、初めて包括的に明らかにすることを目的としました。
近年、労働者のメンタルヘルスに起因する生产性の低下が、経済?社会に及ぼす影响として注目されています。中でも、出勤はしているものの心身の不调により本来のパフォーマンスが発挥できないプレゼンティーズム*1は、欠勤(アブセンティーズム*2)以上に企業?組織に大きな損失をもたらすことが指摘されています。しかし、こうした「隠れた損失(Hidden Cost)」は、医療費などと異なり統計的に可視化されにくく、政策決定や職場対策において十分に考慮されていません。
これまでの先行研究では、特定の公司や业种に限定したプレゼンティーズム损失の定量的评価や、うつ病など特定の诊断名に基づいた分析が多く、全国规模かつ多様なメンタルヘルス症状を含めた网罗的な経済损失の推计は限られていました。また、精神的な不调を自覚しながらも医疗机関を受诊していない层の影响は、従来の医疗ベースの研究では捉えきれていませんでした。
本研究では、メンタルヘルスに関连する主観的な症状(例:「気分が沉む」「眠れない」など)を有する労働者のプレゼンティーズムおよびアブセンティーズムを対象とし、それらがもたらす社会経済的损失を全国レベルで金额换算し、初めて包括的に明らかにすることを目的としました。
研究内容
本研究では、全国の労働者27,507名を対象に、性别?年齢?地域を层化抽出したインターネット调査を2022年に実施しました。调査では、メンタルヘルスに関连する主観的な症状(例:「気分が沉む」「眠れない」など)や、これらの症状による仕事のパフォーマンスへの影响(プレゼンティーズム)、および过去1年间の病気による欠勤日数(アブセンティーズム)を自己记入式で収集しました。
プレゼンティーズムの評価には、症状がある期間における仕事の「量」と「質」の低下を11段階で評価するQuantity and Quality method*3を用い、症状の発现日数と掛け合わせることで年间の损失日数を算出しました。アブセンティーズムは、欠勤日数のカテゴリを中间値に変换し、同様に年间损失日数を推定しました。
得られたプレゼンティーズムおよびアブセンティーズムの年间损失日数に対し、性别?年齢别の労働参加率と平均日収(厚生労働省统计)を掛け合わせることで、経済的损失を金额换算しました。推计にはモンテカルロ法による确率感度分析*4を适用し、95%信頼区间を算出しています。
その结果、プレゼンティーズムによる损失额は约7.3兆円、アブセンティーズムによる损失は约0.3兆円であり、合计は约7.6兆円に达しました。これは日本の国内総生产(骋顿笔)の约1.1%に相当します。また、65歳未満の精神疾患にかかる医疗费(约1.1兆円)と比较しても、损失额は7倍以上にのぼることが明らかとなりました。さらに、20?30代の女性において有症状の报告割合が特に高く、対策の必要性が示唆されました。
本研究では、全国の労働者27,507名を対象に、性别?年齢?地域を层化抽出したインターネット调査を2022年に実施しました。调査では、メンタルヘルスに関连する主観的な症状(例:「気分が沉む」「眠れない」など)や、これらの症状による仕事のパフォーマンスへの影响(プレゼンティーズム)、および过去1年间の病気による欠勤日数(アブセンティーズム)を自己记入式で収集しました。
プレゼンティーズムの評価には、症状がある期間における仕事の「量」と「質」の低下を11段階で評価するQuantity and Quality method*3を用い、症状の発现日数と掛け合わせることで年间の损失日数を算出しました。アブセンティーズムは、欠勤日数のカテゴリを中间値に変换し、同様に年间损失日数を推定しました。
得られたプレゼンティーズムおよびアブセンティーズムの年间损失日数に対し、性别?年齢别の労働参加率と平均日収(厚生労働省统计)を掛け合わせることで、経済的损失を金额换算しました。推计にはモンテカルロ法による确率感度分析*4を适用し、95%信頼区间を算出しています。
その结果、プレゼンティーズムによる损失额は约7.3兆円、アブセンティーズムによる损失は约0.3兆円であり、合计は约7.6兆円に达しました。これは日本の国内総生产(骋顿笔)の约1.1%に相当します。また、65歳未満の精神疾患にかかる医疗费(约1.1兆円)と比较しても、损失额は7倍以上にのぼることが明らかとなりました。さらに、20?30代の女性において有症状の报告割合が特に高く、対策の必要性が示唆されました。
今后の展开
本研究により、出勤しながら不调を抱える労働者が多く存在し、その影响が社会全体の生产性に甚大な损失をもたらしていることが、初めて全国レベルで金额换算されました。この成果は、メンタルヘルス対策が単なる个人支援や医疗の问题ではなく、経済政策や労働施策における重要な课题であることを强く示唆しています。
本研究の成果は、一人ひとりがメンタルヘルスを整えることの重要性を再认识する契机となるとともに、行政や公司による一层の支援や対策の必要性を示しています。そのうえで、メンタル不调を早期に発见する取り组みや、不调を改善するための支援策に対する科学的な有効性検証が求められます。研究チームでは、こうした介入の评価を継続的に行い、心の健康を支える社会づくりに贡献していくことを目指しています。
本研究により、出勤しながら不调を抱える労働者が多く存在し、その影响が社会全体の生产性に甚大な损失をもたらしていることが、初めて全国レベルで金额换算されました。この成果は、メンタルヘルス対策が単なる个人支援や医疗の问题ではなく、経済政策や労働施策における重要な课题であることを强く示唆しています。
本研究の成果は、一人ひとりがメンタルヘルスを整えることの重要性を再认识する契机となるとともに、行政や公司による一层の支援や対策の必要性を示しています。そのうえで、メンタル不调を早期に発见する取り组みや、不调を改善するための支援策に対する科学的な有効性検証が求められます。研究チームでは、こうした介入の评価を継続的に行い、心の健康を支える社会づくりに贡献していくことを目指しています。
研究费
本研究は、础惭贰顿(闯笔23谤别补522102)、闯厂罢共创の场形成支援プログラム(闯笔惭闯笔贵2203)、厚生労働省(210401-01、20闯础1005)、日本学术振兴会(闯笔22碍10543、闯笔19碍19471)、顿础滨顿翱生命保険株式会社、およびコラボヘルス研究会の支援を受けて実施されました。
本研究は、础惭贰顿(闯笔23谤别补522102)、闯厂罢共创の场形成支援プログラム(闯笔惭闯笔贵2203)、厚生労働省(210401-01、20闯础1005)、日本学术振兴会(闯笔22碍10543、闯笔19碍19471)、顿础滨顿翱生命保険株式会社、およびコラボヘルス研究会の支援を受けて実施されました。
论文情报
タイトル:The Impact of Productivity Loss From Presenteeism and Absenteeism on Mental Health in Japan
著者:Koji Hara, Tomohisa Nagata, Masaaki Matoba, Tomoyuki Miyazaki
掲載雑誌:Journal of Occupational and Environmental Medicine
顿翱滨:
タイトル:The Impact of Productivity Loss From Presenteeism and Absenteeism on Mental Health in Japan
著者:Koji Hara, Tomohisa Nagata, Masaaki Matoba, Tomoyuki Miyazaki
掲載雑誌:Journal of Occupational and Environmental Medicine
顿翱滨:
用语説明
*1 プレゼンティーズム(Presenteeism):出勤しているにもかかわらず、心身の不調により通常のパフォーマンスを発揮できない状態。見た目には出勤して業務をこなしているように見えるため、企業や社会における損失として認識されにくいという特徴がある。
*2 アブセンティーズム(Absenteeism):病気やメンタル不調などにより仕事を欠勤する状態。欠勤による直接的な業務停滞や人員不足などが企業に損失をもたらす。
*3 Quantity and Quality method:プレゼンティーズムを測定する手法の一つで、症状があるときの仕事の「量(Quantity)」と「質(Quality)」の自己評価を用いて損失の大きさを推計。
*4 確率感度分析(Probabilistic Sensitivity Analysis, PSA):推計に用いる変数にばらつきがあることを考慮し、モンテカルロ法などを用いて数千回の試行を行い、結果の信頼区間を得る統計的手法。
*1 プレゼンティーズム(Presenteeism):出勤しているにもかかわらず、心身の不調により通常のパフォーマンスを発揮できない状態。見た目には出勤して業務をこなしているように見えるため、企業や社会における損失として認識されにくいという特徴がある。
*2 アブセンティーズム(Absenteeism):病気やメンタル不調などにより仕事を欠勤する状態。欠勤による直接的な業務停滞や人員不足などが企業に損失をもたらす。
*3 Quantity and Quality method:プレゼンティーズムを測定する手法の一つで、症状があるときの仕事の「量(Quantity)」と「質(Quality)」の自己評価を用いて損失の大きさを推計。
*4 確率感度分析(Probabilistic Sensitivity Analysis, PSA):推計に用いる変数にばらつきがあることを考慮し、モンテカルロ法などを用いて数千回の試行を行い、結果の信頼区間を得る統計的手法。
参考
?横浜市立大学颁翱滨-狈贰齿罢拠点惭颈苍诲蝉1020尝补产について
国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)の「共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)」は大学等が中心となって未来のあるべき社会像(拠点ビジョン)を策定し、その実現に向けた研究開発を推進するとともに、持続的に成果を創出する自立した産学官共創拠点の形成を目指す産学連携プログラムです。
横浜市立大学では、拠点名を「Minds1020Lab(????????????????)」とし、横浜市立大学研究?产学连携推进センター 教授がプロジェクトリーダーを務める横浜市立大学 COI-NEXT拠点にて、生きづらさを感じる若者の心の課題を包括的に研究する新たな学術領域を立ち上げ、得られる知見を基に心理的レジリエンスの獲得を促すコンテンツを提供するインタラクティブプラットフォームを構築しています。
公式ページ:
?横浜市立大学颁翱滨-狈贰齿罢拠点惭颈苍诲蝉1020尝补产について
国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)の「共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)」は大学等が中心となって未来のあるべき社会像(拠点ビジョン)を策定し、その実現に向けた研究開発を推進するとともに、持続的に成果を創出する自立した産学官共創拠点の形成を目指す産学連携プログラムです。
横浜市立大学では、拠点名を「Minds1020Lab(????????????????)」とし、横浜市立大学研究?产学连携推进センター 教授がプロジェクトリーダーを務める横浜市立大学 COI-NEXT拠点にて、生きづらさを感じる若者の心の課題を包括的に研究する新たな学術領域を立ち上げ、得られる知見を基に心理的レジリエンスの獲得を促すコンテンツを提供するインタラクティブプラットフォームを構築しています。
公式ページ:

