看护师次第で患者さんは幸せにも不幸にもなる
学生の小さな気遣いが、ある患者の最期を大きく変えた
- 叶谷 由佳(かのや?ゆか)
- 医学群 老年看护学 教授
- (学部)医学部 看護学科
- (大学院)医学研究科 看護学専攻
十数年前、私は看护の指导をしていた学生たちを、病院の実习に连れて行きました。そこで学生の一人がマンツーマンで受け持ったのは、末期の舌がんの患者さんでした。手术した颜をマスクで覆い、痛みと耻ずかしさからか手でマスクをいつも押さえて、寝たきりで静かに余生を送っているという女性でした。
ある时、その学生が患者さんの病室の环境整备をしたというので、确认に行ったところ、あ然としました。环境整备とは、ベッドの周辺などをきれいに整えることで、难しいことではありません。ところが全然できていないのです。汤のみの茶渋はそのままで、手镜も汚れたまま。黒ずんできたマスクさえ交换していませんでした。「患者さんの立场に立って考えなさい」と、私は学生にやり直しを指示しました。
そう言われた学生は、必死に考えたのでしょう。汤のみや手镜をきれいにしただけでなく、病室の窓を拭き始めたのです。そこは高层阶の病室でした。ずっと寝たままの患者さんに、素晴らしい景色を见てもらおうとしたのです。
すると翌日から、患者さんに変化が起こりました。自ら起き上がり、镜でご自身の颜を见たりするようになりました。そして、外の景色を见ているうちに「家に帰りたい」と言い出しました。その希望をかなえるための残された时间は、患者さんには多くありません。帰宅の実现に向けた看护计画を、何度も何度も学生に立てさせて、「饮む薬の量を减らせないか」と私も学生と一绪に担当医に相谈しました。
実习期间が终わり、その患者さんを引き継いだ看护师から后日、がんが食道に転移してお亡くなりになったことを闻きました。でも、なんとか望み通り帰宅できて、患者さんは大変お喜びになり、まもなく家族の前で最期を迎えられたそうです。「ご本人は本望でしたでしょう」と看护师は知らせてくれました。
学生は、环境整备の意义はもちろん、それ以上のことを学んだと思います。看护师の小さな気遣いが、患者さんの蚕翱尝(生活の质)さえも大きく変えていく。患者さんが幸せになるのも不幸になるのも、看护师次第なのです。その学生はその后、大学院に进み、现在は产业保健师として活跃しています。
病院の経営までをも左右する看护のマネジメント

私がこれまで多く研究してきたのは「看护管理」です。看护部长などの责任者やリーダーのことを看护管理者と呼びますが、质の高い看护を提供するには、看护管理者の役割がとても重要です。1人の看护师が一生悬命に仕事をしているだけでは効果は薄く、チームとして看护に取り组まなければならないのです。
「マグネットホスピタル」という言叶があります。患者さんから支持され、看护师の离职も少ない、まるで磁石のように人を引き付ける病院のことです。そのような魅力的な病院づくりには、看护管理が大きなカギを握っていると考えて、私はかつて北海道内の3つの病院で、看护师として活动しながら调査研究を行いました。
调べたのは、看护管理者の方针、看护内容、看护师の职务満足度です。どの病院もそれぞれ个性を持ちながら魅力的で、看护管理者もしっかりしていました。共通していたのは、経営者である院长が看护部の自主性を尊重していたということです。
现に、看护师の人数や人员配置などによって、病院が受け取る诊疗报酬の额は変わってきます。看护のマネジメントが、病院の経営までをも左右するのです。私が研究を进めていく过程でも、病院を改革していった凄腕の看护部长さんと知り合うことができ、刺激を受けました。
また、患者さんに効果的なケアを行うための実践的な研究も进めてきました。例えば、白癣(はくせん=白癣菌によって起こる皮肤感染症)が全身にできた患者さんに看护师が薬を涂るのは、非常に时间がかかります。そこで、ある高齢者施设で、使い终わった茶殻を入浴时に患者さんの浴槽に入れてもらいました。
すると、緑茶に含まれる成分によって、患者さんの白癣が改善されたのです。そしてそれは、高齢者施设にとって看护师や介护职の负担が减るだけでなく、薬のコストも减らすことができ、経営改善につながったのです。










