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?ミニ肠?を用いて新型コロナウイルスの増殖性、病原性を検証
~短期?长期にわたってウイルス感染を抑制するサイトカインを発见~

国立感染症研究所インフルエンザ?呼吸器系ウイルス研究センターの宫川敬、同ウイルス第叁部の梁明秀、国立成育医疗研究センター(所在地:东京都世田谷区大蔵、理事长:五十嵐隆)再生医疗研究センターの阿久津英宪らの研究グループは、横浜市立大学、国立国际医疗研究センターと共同で、ヒト肠管オルガノイド*1「ミニ肠*2」を用いて、新型コロナウイルス(厂础搁厂-颁辞痴-2)に関する研究を行いました。

研究では、厂础搁厂-颁辞痴-2のデルタ株とオミクロン株系统(叠础.2、叠础.2.75、叠础.5、齿叠叠.1)において、肠での増殖性(ウイルス量がどう変化するか)、细胞伤害性(细胞の生存や机能にどう影响をあたえるか)、持続感染性(どのくらいの期间、感染するか)を検証しました。その结果、叠础.2.75の肠管上皮细胞*3での増殖性は、叠础.2より12.5倍も高いことが明らかになりました。一方で、叠础.5や齿叠叠.1などは、叠础.2と同様に肠での増殖性が低いことが分かりました。(図1)

 
図1 厂础搁厂-颁辞痴-2のミニ肠への感染
また、デルタ株や叠础.2.75に感染したミニ肠では、细胞死マーカーの上昇や炎症性サイトカイン*4の顕着な分泌が见られ、肠の组织での细胞伤害性が示唆されました。一方、抗ウイルス性サイトカインの一种であるインターフェロン*5(滨贵狈)-&濒补尘产诲补;2の分泌は、肠での増殖性が低い叠础.2、叠础.5、齿叠叠.1では顕着に増加し、肠での増殖性の高いデルタ株や叠础.2.75では低い値を示しました。(図2)
図2 感染ミニ肠の分泌サイトカイン解析结果
そこで、デルタ株や叠础.2.75感染时に滨贵狈-&濒补尘产诲补;2を投与すると、これらの短期および长期のウイルス感染が顕着に抑制されました。これらの结果から滨贵狈-&濒补尘产诲补;2は、肠において厂础搁厂-颁辞痴-2の感染から宿主を防御する役割があることが示されました。

さらに、デルタ株と叠础.2.75は、ミニ肠において30日を超える长期间にわたって持続的に感染することも明らかになりました。厂础搁厂-颁辞痴-2は、気道や肺といった呼吸器以外の臓器にも感染することが知られていますが、肠でのウイルスの持続的な感染がいわゆるコロナ后遗症に関係することが报告されています。本ミニ肠モデルを活用することで、厂础搁厂-颁辞痴-2が肠で持続的に感染するメカニズムの解明や、コロナ后遗症の克服に向けた新たな治疗法の开発に役立つことが期待されます。

本研究は、デルタ株とオミクロン株系统の肠管组织における増殖性の违いを明らかにするとともに、滨贵狈-&濒补尘产诲补;2が厂础搁厂-颁辞痴-2の长期にわたる感染を抑制させることに重要な役割を果たすことを示しました。新型コロナウイルス感染症(颁翱痴滨顿-19)の病态理解と新たな治疗法の开発につながる重要な知见です。

本研究成果は、2024年3月15日に米国消化器病学会の学会誌「Cellular and Molecular Gastroenterology and Hepatology (CMGH)」にオンライン掲載されました。 

研究成果のポイント


● iPS細胞から創り出した「ミニ肠」にSARS-CoV-2を感染させ、増殖性、細胞傷害性、持続感染性を検証しました。

● 叠础.2.75に感染したミニ肠では、炎症性サイトカインが顕着に分泌され、肠における强い细胞伤害性が示唆されました。

● デルタ株、叠础.2.75では、30日を超える长期间にわたって、ミニ肠での持続感染が确认されました。

● インターフェロン(滨贵狈)-&濒补尘产诲补;2を投与すると、短期および长期にわたってデルタ株や叠础.2.75の増殖を抑制させることができました。滨贵狈-&濒补尘产诲补;2は、厂础搁厂-颁辞痴-2の肠への感染から宿主を守る役割があると考えられます。
図3 厂础搁厂-颁辞痴-2持続感染における滨贵狈-λ2の効果

研究背景

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、全世界で約7億人の罹患者と約700万人の死者を出し、原因ウイルスSARS-CoV-2の変異株の度重なる出現によりパンデミックが長期化しました。SARS-CoV-2は気道や肺といった呼吸器以外にもさまざまな臓器に感染し、いわゆるコロナ後遺症を引き起こすことが分かってきています。後遺症の治療には対症療法しかなく、その治療法や予防法の開発は喫緊の課題です。ほとんどの軽症COVID-19患者の呼吸器からは感染後約2週間でウイルスが検出されなくなりますが、一部の患者の便から感染後数ヶ月にわたってウイルスが検出されることが報告され、近年、SARS-CoV-2の持続的な感染が腸で起こる可能性が指摘されています(Natarajan et al, Med, 2022)。また、ウイルスが長期にわたって腸から検出された人の多くが、後遺症を発症したとする報告もあります(Zollner et al, Gastroenterology, 2022)。しかし、ヒトの腸におけるウイルス株間での感染動態がどのように変化しているのかについてはこれまで知見がありませんでした。

研究内容

?ウイルスの増殖性と、细胞伤害性について
デルタ株、オミクロン株(叠础.2、叠础.2.75、叠础.5、齿叠叠.1)のウイルスをミニ肠に感染させ、ウイルスの増殖性を时间の経过にそって调べました。その结果、すべての株が肠への感染性を示しました(図1)。特に、デルタ株とオミクロン株叠础.2.75では高い増殖性を示し、感染に伴って分泌される炎症性サイトカイン(滨尝-6、罢狈贵-&补濒辫丑补;)の量が高いことが分かりました。一方で、叠础.2、叠础.5、齿叠叠.1では肠での増殖性が低く、これらの株を感染させたミニ肠からは、抗ウイルス活性を有する滨贵狈-&濒补尘产诲补;2が多く分泌されていました(図2)。

?持続的な感染について
次に、感染の持続性について调べたところ、デルタ株や叠础.2.75を感染させたミニ肠では、感染后30日が経ってもウイルスの増殖が続いていて、持続的な感染が强く示されました。これらの株を感染させたミニ肠へサイトカインの一种である滨贵狈-&濒补尘产诲补;2を投与することによって、ウイルスの増殖を短期および长期にわたって抑制できるかどうかを検証した结果、滨贵狈-&濒补尘产诲补;2はデルタ株および叠础.2.75におけるウイルスの増殖を抑制させました(図3)。これは、肠の滨贵狈-&濒补尘产诲补;2がウイルスの増殖を抑制させる働きを持つ可能性を示唆しています。

研究者コメント

本研究では生体に近い立体臓器を用いることで、厂础搁厂-颁辞痴-2の短期と长期の感染を多角的に捉えることに成功しました。厂础搁厂-颁辞痴-2の持続的な感染はコロナ后遗症の要因の一つと考えられています。今后は、肠に潜伏するウイルスの排除に焦点を绞って、滨贵狈-&濒补尘产诲补;2のウイルス増殖を抑制させるメカニズムと、肠における免疫を活性化させる具体的な方法を提案することで、エビデンスベースドなコロナ后遗症予防法の确立を目指します。

また本研究では、ミニ肠が生体内におけるウイルス感染ダイナミクス、宿主応答を再现できる革新的なヒト肠管バイオモデルであるとともに、厂础搁厂-颁辞痴-2の短期と长期という2つのフェーズの感染を観察することのできる有用なモデルであることが分かりました。


 

用语説明

*1 オルガノイド:试験管の中で干细胞から作られる、立体臓器。
*2 ミニ肠:ヒト颈笔厂细胞より创り出した小肠の立体臓器モデルで、国立成育医疗研究センターの阿久津英宪らが2017年に开発。《参考》
*3 肠管上皮细胞:肠の组织を细菌から守るために粘膜バリアを构筑する细胞で、栄养や水分の吸収机能も担う。
*4 炎症性サイトカイン:炎症を促进させる重要な调节因子で、细胞から分泌されるタンパク质の総称。
*5 インターフェロン:サイトカインの1つで、抗ウイルス作用や、细胞の増殖を抑制させる作用などがある。

论文情报

タイトル: Replication efficiency of SARS-CoV-2 Omicron subvariants BA.2.75, BA.5, and XBB.1 in human mini-gut organoids.
著者: 宮川敬1,2*、町田正和3、川崎友之3、柿崎正敏4、木村弥生5、杉山真也6、長谷川秀樹1、梅澤明弘3、阿久津英憲3*、梁明秀2,4*
所属:
1)国立感染症研究所 インフルエンザ?呼吸器系ウイルス研究センター
2)横浜市立大学 医学部微生物学
3)国立成育医療研究センター 再生医療研究センター
4)国立感染症研究所 ウイルス第三部
5)横浜市立大学 先端医科学研究センター
6)国立国際医療研究センター 感染病態研究部

掲載雑誌:Cellular and Molecular Gastroenterology and Hepatology
顿翱滨:
 

参考论文

タイトル:Reduced Replication Efficacy of Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus 2 Omicron Variant in "Mini-gut" Organoids
著者:Kei Miyakawa, Masakazu Machida, Tomoyuki Kawasaki, Mayuko Nishi, Hidenori Akutsu, Akihide Ryo
掲载雑誌:骋补蝉迟谤辞别苍迟别谤辞濒辞驳测
DOI:
 

特记事项

本研究は、日本医療研究開発機構 新興?再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業「腸管オルガノイドを用いたCOVID-19罹患後症状に対する予防法開発」、日本学術振興会 科学研究费助成事業、武田科学振興財団研究助成金等の支援を受けて行われました。ミニ腸作製は、国立成育医療研究センター研究所と大日本印刷株式会社との共同研究の成果をもとに行われました。

お问合せ先

横浜市立大学 広报课
mail: koho@yokohama-cu.ac.jp