产科危机的出血に対する子宫全摘术の実态を全国规模で明らかに
—紧急子宫全摘术の死亡率は2.2%—
2025.08.07
横浜市立大学大学院データサイエンス研究科ヘルスデータサイエンス専攻の中村永信さん(埼玉医科大学 医学部総合医療センター 産婦人科 助教)と、同大学院データサイエンス研究科の讲师、教授らの研究グループは、日本全国の诊断群分类(顿笔颁)データベース*1を活用し、2018年4月から2023年3月までの期间における产科危机的出血に対する子宫全摘术(产科的子宫全摘)の诊断コード*2の精度を検証するとともに、全国における実施実态と院内死亡率を明らかにしました。
本研究成果は、「Journal of Obstetrics and Gynaecology Research」にオンライン掲載されました(2025年7月28日公開)。
本研究成果は、「Journal of Obstetrics and Gynaecology Research」にオンライン掲載されました(2025年7月28日公開)。
研究成果のポイント&苍产蝉辫;
● 全国の顿笔颁データベースを用い、产科危机的出血に対する子宫全摘术の実施率と死亡率を初めて包括的に解析
● 约21万人の产科危机的出血患者のうち、0.88%(1,835人)が子宫全摘术を受け、そのうち0.87%(16人)が院内で死亡
● 计画的な子宫全摘の适応となる疾患(前置胎盘、癒着胎盘など)を除いた解析では死亡率は2.2%に上昇
● 诊断コードと分娩出血量の併用により、顿笔颁データベースでの产科危机的出血の特定精度が极めて高いことを実証(感度97.8%、特异度99.7%)
● 本研究により、日本における产科危机的出血治疗の现状と课题が浮き彫りとなり、今后の対応体制の整备に资する重要な知见を提供
研究背景
分娩后の出血は、すべての分娩において比较的频繁に起こる合併症です。特に、大量出血が短时间で进行する病态を产科危机的出血と呼び、母体の命に関わる重大な状态へと急速に移行するリスクがあります摆1闭。先进国においても、产科危机的出血は依然として母体死亡の主要原因のひとつであり、出产时の医疗水準が高い国でも避けがたい课题として国际的に认识されています。产科危机的出血の治疗には、薬物治疗、输血、动脉塞栓术*3などが用いられますが、これらの手段で止血困难な场合には、最终的に「子宫全摘术」が必要となるケースもあります摆2闭。
しかしながら、产科出血に対する子宫全摘术の実施状况や、それに伴う母体死亡率に関して、日本において全国规模かつ信頼性の高いデータに基づいた分析はこれまで行われていませんでした。特に、全国レベルでの子宫全摘术の件数や死亡率の実态把握、诊疗报酬情报(顿笔颁データ)の诊断精度の検証などがなされておらず、医疗政策や临床现场における适切な意思决定を支える情报が不足している状况でした。
また、日本では分娩の约半数が一般诊疗所で行われており、重症な产科出血症例は地域の周产期センターなどへ救急搬送されることが多くあります。そうした中で、救命処置の标準化や、地域间での诊疗体制の格差を是正するための医疗资源の集约と多职种连携の强化が课题となっています。
しかしながら、产科出血に対する子宫全摘术の実施状况や、それに伴う母体死亡率に関して、日本において全国规模かつ信頼性の高いデータに基づいた分析はこれまで行われていませんでした。特に、全国レベルでの子宫全摘术の件数や死亡率の実态把握、诊疗报酬情报(顿笔颁データ)の诊断精度の検証などがなされておらず、医疗政策や临床现场における适切な意思决定を支える情报が不足している状况でした。
また、日本では分娩の约半数が一般诊疗所で行われており、重症な产科出血症例は地域の周产期センターなどへ救急搬送されることが多くあります。そうした中で、救命処置の标準化や、地域间での诊疗体制の格差を是正するための医疗资源の集约と多职种连携の强化が课题となっています。
研究内容
本研究では、まず埼玉医科大学総合医疗センターにおける入院患者の诊疗録をもとに、顿笔颁データベースに登録された产科出血の诊断コードの正确性を検証しました。その结果、顿笔颁データによる产科出血の诊断は非常に高い精度(感度97.8%、特异度99.7%)を有していることが确认されました。
次に、2018年4月から2023年3月までの5年间に顿笔颁データベースに登録された约21万人の产科出血症例を対象に、子宫全摘术の実施率および术后の死亡率を全国的に解析しました。その结果、全症例の内0.88%の患者が子宫全摘术を受けており、また、子宫全摘术を受けた患者の死亡率は0.87%でした(表1)。
次に、2018年4月から2023年3月までの5年间に顿笔颁データベースに登録された约21万人の产科出血症例を対象に、子宫全摘术の実施率および术后の死亡率を全国的に解析しました。その结果、全症例の内0.88%の患者が子宫全摘术を受けており、また、子宫全摘术を受けた患者の死亡率は0.87%でした(表1)。
また、癒着胎盘や前置胎盘などの「予定された子宫全摘が见込まれる疾患」を除外して解析した结果、0.37%の患者が子宫全摘术を受け、死亡率は2.2%に上昇していました(表2)。&苍产蝉辫;
产科危机的出血に対する子宫全摘施行群と非施行群の比较
なお、本研究は、横浜市立大学大学院データサイエンス研究科でヘルスデータサイエンスの知见を深めた研究者が、产科医疗の现场で课题意识を持つ医师と连携し、医疗系ビッグデータを活用して実施したものであり、データ駆动型の临床研究によって现场のニーズに根ざした课题解决をめざす画期的な取り组みです。
研究には、横浜市立大学から清水沙友里讲师、后藤匡启教授、埼玉医科大学 医学部総合医療センターから中村永信助教(横浜市立大学大学院データサイエンス研究科 ヘルスデータサイエンス専攻)、松永茂剛教授、菊池昭彦教授、高井泰教授が参画し、産科医療とデータサイエンスの融合による学際的な共同研究として実現しました。
研究には、横浜市立大学から清水沙友里讲师、后藤匡启教授、埼玉医科大学 医学部総合医療センターから中村永信助教(横浜市立大学大学院データサイエンス研究科 ヘルスデータサイエンス専攻)、松永茂剛教授、菊池昭彦教授、高井泰教授が参画し、産科医療とデータサイエンスの融合による学際的な共同研究として実現しました。
今后の展开
本研究では、诊疗情报データベースを基に、产科危机的出血に対して子宫全摘术がどのように実施され、どの程度の母体死亡率が伴っているかを明らかにしました。さらに、単施设での検証により、顿笔颁データにおける产科危机的出血の诊断精度が非常に高いことを确认したことで、今后このデータベースを用いた分析の信頼性が里付けられました。これらの成果により、日本全国における产科出血の治疗実态をデータ駆动型で评価する基盘が整备されつつあります。一方で、本研究は记述的な分析であるため、子宫全摘术が产科危机的出血患者の死亡率にどのような影响を与えているかを直接的に検証することはできません。したがって、今后はより详细な临床情报を含む前向き研究*4や、多施设共同研究によって、治疗选択と予后の関连性を明らかにし、子宫全摘术に至るリスク因子の分析や、安全な医疗措置の标準化に向けた临床现场での意思决定の支援の応用が期待されます。
加えて、子宫全摘术に至る前の段阶での迅速な止血介入や、产科救急における「ダメージコントロール」手术の导入と评価も重要なテーマです摆3闭。将来的には、死亡リスクを低减するための早期対応体制の整备と、治疗プロトコルの最适化が求められます。
加えて、子宫全摘术に至る前の段阶での迅速な止血介入や、产科救急における「ダメージコントロール」手术の导入と评価も重要なテーマです摆3闭。将来的には、死亡リスクを低减するための早期対応体制の整备と、治疗プロトコルの最适化が求められます。
论文情报
タイトル: Hysterectomy and Postoperative Mortality for Postpartum Hemorrhage in Japan: A Nationwide Database Study with Validation
著者:中村 永信*、後藤 匡啓、松永 茂剛、菊池 昭彦、高井 泰、清水 沙友里(* 責任著者)
掲載雑誌:Journal of Obstetrics and Gynaecology Research
顿翱滨:
著者:中村 永信*、後藤 匡啓、松永 茂剛、菊池 昭彦、高井 泰、清水 沙友里(* 責任著者)
掲載雑誌:Journal of Obstetrics and Gynaecology Research
顿翱滨:
用语説明
*1 診断群分類(DPC)データベース:診断群分類(DPC: Diagnosis Procedure Combination)データベースは、日本の急性期病院における入院診療の診療内容?医療資源の使用状況を包括的に収集?管理する大規模な医療データベース。厚生労働省が主導しており、全国のDPC対象病院から提出される情報をもとに構成されている。
このデータベースには、患者の年齢や性别、入院?退院日、主要な诊断名、手术?処置?投薬内容、入院中の経过、および诊疗报酬に関わる情报が记録されている。特に、日本国内での急性期医疗の実态を网罗的に捉えることができ、医疗政策の立案や临床研究など多方面で活用されている。
*2 診断コード:DPC(診断群分類)では、すべての診断や治療行為が「コード(番号)」で記録される。たとえば「産科出血」も、「O721」や「O723」といったICD-10(国際疾病分類)に基づくコードで登録される。DPCデータベースは、こうした診断コードや治療内容、手術、入院日数、患者背景などの情報を全国の急性期病院から集めた、日本最大級の医療データベースである。本研究では、実際の診療録とDPCデータの診断コードを照らし合わせることで、「DPCデータで産科出血を正しく拾い上げられているか」を検証した。
*3 動脈塞栓術(どうみゃくそくせんじゅつ):分娩後の産科出血を止めるための治療のひとつで、カテーテルという細い管を使って、子宮の血管を内側からふさぐ方法。専門の技術が必要なため、すべての病院で行えるわけでないが、手術に代わる選択肢として近年注目されている。
*4 前向き研究:患者を登録し、これから新しい症例を集めて「仮説を検証」するあらかじめ定めた観察項目に基づいてデータを追跡する研究手法。ある事象や要因が将来どのように影響するかを観察するこの方法では、データの欠損が少なく、観察日をそろえて設定できるため、後ろ向き研究に比べて質の高い研究が可能。
このデータベースには、患者の年齢や性别、入院?退院日、主要な诊断名、手术?処置?投薬内容、入院中の経过、および诊疗报酬に関わる情报が记録されている。特に、日本国内での急性期医疗の実态を网罗的に捉えることができ、医疗政策の立案や临床研究など多方面で活用されている。
*2 診断コード:DPC(診断群分類)では、すべての診断や治療行為が「コード(番号)」で記録される。たとえば「産科出血」も、「O721」や「O723」といったICD-10(国際疾病分類)に基づくコードで登録される。DPCデータベースは、こうした診断コードや治療内容、手術、入院日数、患者背景などの情報を全国の急性期病院から集めた、日本最大級の医療データベースである。本研究では、実際の診療録とDPCデータの診断コードを照らし合わせることで、「DPCデータで産科出血を正しく拾い上げられているか」を検証した。
*3 動脈塞栓術(どうみゃくそくせんじゅつ):分娩後の産科出血を止めるための治療のひとつで、カテーテルという細い管を使って、子宮の血管を内側からふさぐ方法。専門の技術が必要なため、すべての病院で行えるわけでないが、手術に代わる選択肢として近年注目されている。
*4 前向き研究:患者を登録し、これから新しい症例を集めて「仮説を検証」するあらかじめ定めた観察項目に基づいてデータを追跡する研究手法。ある事象や要因が将来どのように影響するかを観察するこの方法では、データの欠損が少なく、観察日をそろえて設定できるため、後ろ向き研究に比べて質の高い研究が可能。
参考文献
1. Say L, Chou D, Gemmill A, Tunçalp Ö, Moller AB, Daniels J, et al. Global causes of maternal death: a WHO systematic analysis. Lancet Glob Health. 2014;2(6):e323-33.
2. Pettersen S, Falk RS, Vangen S, Nyfløt LT. Peripartum hysterectomy due to severe postpartum hemorrhage: A hospital-based study. Acta Obstet Gynecol Scand. 2022;101(7):819-26.
3. Pacheco LD, Lozada MJ, Saade GR, Hankins GDV. Damage-Control Surgery for Obstetric Hemorrhage. Obstet Gynecol. 2018;132(2):423-7.
2. Pettersen S, Falk RS, Vangen S, Nyfløt LT. Peripartum hysterectomy due to severe postpartum hemorrhage: A hospital-based study. Acta Obstet Gynecol Scand. 2022;101(7):819-26.
3. Pacheco LD, Lozada MJ, Saade GR, Hankins GDV. Damage-Control Surgery for Obstetric Hemorrhage. Obstet Gynecol. 2018;132(2):423-7.