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ゲノム编集により环境ストレス耐性植物の开発に成功
—遗伝子の発现をデザインする新技术—

横浜市立大学木原生物学研究所 三木大介客員教授[深圳(Shenzhen)理工大学准教授兼任]らの研究グループは、植物の遗伝子*1の「スイッチ部分」を自在にデザインすることで、干ばつや塩害に强い植物(シロイヌナズナ)を作り出すことに成功しました。

これまでのゲノム編集技術は、主に遗伝子そのものに変異を導入するものでしたが、この研究では「遗伝子がいつ、どれくらい働くか」を決める調節部分(プロモーター*2)に注目し、遗伝子の発現タイミングと強さを最適化することで、植物の環境適応能力の大幅な向上を可能としました。

本研究成果は、英文科学誌「New Phytologist」に掲載されました(2025年7月15日)。

研究成果のポイント


● プロモーター領域の最適化で、必要な時に?必要な場所で遗伝子を働かせる手法を確立

● 余计な顿狈础を残さない、目的の配列だけを正确に挿入するピンポイントゲノム编集

図1 本研究の概略図
A:遗伝子発現の「調節スイッチ」をコピーアンドペースト方式で、正確に標的遗伝子のプロモーター領域に挿入
B:作出したゲノム編集植物における標的遗伝子発現のモデル図。「調節スイッチ」を導入した遗伝子の発現は、環境ストレスにより増加する
颁:作出したゲノム编集植物は、乾燥や塩害に强くなる

研究背景

植物は、病害虫といった生物的ストレスや、干ばつ?高温?塩害などの環境ストレスにさらされ、成長が阻害されることがあるため、農作物の収量が減ったりすることが問題となっています。そのため、「ストレスに強い作物の開発」は、農業分野の重要な課題です。従来の分子育種では、「遗伝子そのものを改変する方法」(例:遗伝子組み換え技術や遗伝子配列を標的としたゲノム編集)が主流でした。

研究内容

本研究では、CRISPR/Cas9を介した遗伝子ターゲッティング技術*3を用いて、植物の遗伝子の"スイッチ"部分(プロモーター領域)を精密に改変することに成功しました。具体的には、モデル植物であるシロイヌナズナにおいて、ストレスに反応する調節領域をコピーアンドペースト方式により標的遗伝子のプロモーター領域に正確に組み込むことで、植物が本来持っているストレス耐性能力を強化しました(図1A, B)。この手法で開発した植物は、乾燥や塩害などの厳しい環境下でも優れた適応能力を示しました(図1C)。特に、気孔を素早く閉じることで水分の損失を防ぎ、葉の乾燥を抑えることに成功しました。さらに、ストレスによる酸化ダメージから身を守る仕組みも強化され、総合的な環境ストレス耐性が向上しました。重要なのは、この改良が植物の正常な成長を妨げることなく、安全に達成された点です。従来の遗伝子組み換え技術のように外部から遗伝子を導入するのではなく、植物が元々持っている遗伝子の働き方を最適化したことで、より自然な形での改良が実現できました。

今后の展开

本研究において、「遗伝子のスイッチ(プロモーター)を調整し、必要なタイミング?場所で働かせる」という新しいアプローチを考案しました。植物が本来持つ能力を最大限に引き出し、より自然に近い形でストレス耐性を高めることが可能になると考えられます。

この技術の画期的な点は、遗伝子そのものを変更するのではなく、遗伝子が「いつ」「どこで」働くかを精密に制御したことです。これにより、従来の方法では難しかったきめ細やかな形質改良が可能になりました。この成果は、気候変動時代における持続可能な農業の発展に貢献できると期待されます。

论文情报

タイトル:Precise knock-in of stress-responsive cis-regulatory elements using gene targeting for improving abiotic stress tolerance in plants
著者:Yongping Ke* , Dali Kong*, Wenxin Zhang*, Wenjie Zeng, Zhe Kong, Xiaofei Dang, Jian-Kang Zhu, Daisuke Miki(*共同筆頭著者)
掲載雑誌:New Phytologist
顿翱滨:

用语説明

*1 遗伝子:生物の設計図。遗伝子配列が転写、翻訳されタンパク質として機能する。従来のゲノム編集による分子育種では、遗伝子配列が主な標的である。

*2 プロモーター:遗伝子配列の上流に位置し、遗伝子配列を転写するための発現を調節する領域(図1A参照)。

*3 遗伝子ターゲッティング:遗伝子に限らず生物のDNA配列を、デザイン通り正確に改変する技術。
 
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