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健診で糖尿病を指摘された後の「早期受診」で 10年間の心血管疾患リスクが27%低下
?大规模レセプトデータを用いた标的试験エミュレーション?

横浜市立大学大学院データサイエンス研究科ヘルスデータサイエンス専攻 博士課程の鱶口 清満医師(湘南鎌仓総合病院)、同大学院医学研究科 公衆衛生学の教授、東京大学大学院情報学環/大学院医学系研究科 公共健康医学専攻 篠崎 智大准教授 、国立精神?神経医療研究センター 行動医学研究部精神機能研究室 成田 瑞室長の研究グループは、健康診断で糖尿病を指摘された循環器疾患の既往がない人々を対象に、その後の医療機関への1年以内の受診行動が将来の心血管疾患リスクに与える影響について、日本の大規模レセプトデータ*1を用いて解析しました。

本研究では、ランダム化比较试験(搁颁罢)*2をデータ上で模倣する「標的試験エミュレーション(Target Trial Emulation)」*3という研究手法を用いることで、従来の観察研究では困难であった因果効果の推定を行いました。その结果、糖尿病の指摘后1年以内に医疗机関を受诊した人は、受诊しなかった人と比较して、10年间の心血管疾患(虚血性心疾患と脳卒中)の発症リスクが27%低いことが明らかになりました。

本研究成果は、健诊での「早期発见」を确実な「早期治疗」へ结びつけることの重要性を科学的に実証したものであり、健诊后の受诊勧奨やフォローアップ体制の强化といった公众卫生政策の推进に大きく寄与することが期待されます。
本研究成果は、国際糖尿病連合(IDF)の公式学術誌「Diabetes Research and Clinical Practice」に掲載されました。(2025年11月23日オンライン公開)



研究成果のポイント

 
● 课题: 健诊で糖尿病を指摘されても、约半数が1年以内に受诊しないことが课题とされているが、1年以内の早期受诊が実际にどれほど将来の合併症を予防するのか、その効果は検証されていない。

● 手法: 15万人のビッグデータに対し、「标的试験エミュレーション」という、临床试験を模倣する方法で解析した。

● 成果: 诊断后1年以内に受诊した人は、しなかった人に比べて、10年后の心血管疾患(虚血性心疾患や脳卒中)のリスクが27%低い(リスク比0.73)ことが明らかとなった。

● 意义: 健诊で糖尿病が见つかった场合は、医疗机関を受诊することの重要性を科学的に里付け、受诊勧奨などの公众卫生施策を推进するための重要な基础资料となる。

研究背景

2型糖尿病は心血管疾患(虚血性心疾患や脳卒中)の主要なリスク因子であり、早期からの适切な管理が重要です。日本では特定健康诊査(メタボ健诊)などが普及し、糖尿病の「早期発见」が可能になっています。しかし、自覚症状が乏しいことなどから、健诊で异常を指摘されても医疗机関を受诊しない、あるいは受诊が遅れるケースが少なくありません。これは、公众卫生上の大きな课题となっています。

健诊で异常を指摘された后に、「早期受诊」すると健康寿命が延长することが期待されますが、伦理的な観点から「受诊させないグループ」を意図的に作る介入(搁颁罢)は実施できません。また、従来の観察研究の手法では「健康意识が高い人ほど受诊する」「逆に、具合が悪い人ほど受诊する」といったバイアスの影响を受けやすく、早期受诊の効果を评価することは困难でした。


 

研究内容

本研究では、株式会社JMDCが提供する累計1,200万人規模のレセプトデータベース(JMDC Claims Database)を用い、2005年から2021年の間に健診で初めて糖尿病(HbA1c 6.5%以上または空腹時血糖126mg/dL以上)と判定された40?74歳の男女148,288名を対象としました。

研究手法として、「标的试験エミュレーション」を採用しました。これは、観察データから、临床试験を可能な限り模倣する手法です。対象者を「1年以内に受诊した群(早期受诊群)」と「1年以内に受诊しなかった群(非受诊群)」に分け、年齢、性别、検査値、生活习惯、行动変容への意欲など30以上の変数を用いて重み付けすることで统计学的に背景因子を均等にした上で、その后10年间の心血管疾患の発症リスクを比较しました。

解析の結果、早期受診群は非受診群と比較して、複合心血管疾患(虚血性心疾患または脳卒中)の発症リスクが27%低い(リスク比 0.73)ことが示されました。(図1)

また、そのメカニズムとして、早期受诊群では1年后の时点で糖尿病治疗薬だけでなく、高血圧や脂质异常症の治疗薬が适切に开始されている割合が高く、生活习惯改善への意欲も向上していることが确认されました。つまり、早期受诊により、糖尿病の治疗だけでなく、多面的な管理に繋がっていることが示されました。

図1 各受诊群における心血管疾患(虚血性心疾患および脳卒中)の累积発症率
青い点线(早期受诊群)は、赤い実线(非受诊群)に比べて、経过とともに心血管疾患の発症率が低く推移している

今后の展开

本研究により、健诊で指摘后の「未治疗」を防ぎ、速やかに医疗につなげることが、将来の重篤な病気を防ぐために有効である可能性が示唆されました。本研究で採用した标的エミュレーションは、临床试験を可能な限り模倣するべくしてデザインされた研究方法ですが、未测定の交络因子(因果関係を误って推定させる潜在要因)などによるバイアスの可能性は否定できないことには留意が必要です。

今后は、この科学的根拠に基づき、健诊后の受诊勧奨の自动化や、未受诊者への効果的なアプローチ(ナッジ等の行动経済学的介入)など、受诊行动を促すための具体的な社会実装や政策提言につなげていくことが重要です。


用语説明

1 レセプトデータ: 医療機関が保険者に請求する診療報酬明細書のこと。傷病名、診療行為、処方薬剤などの情報が含まれており、実臨床における大規模な実態調査に活用されている。

2 ランダム化比較試験(RCT): 治療の効果を公平に評価するために、対象者をランダムに(くじ引きのように)「治療する群」と「治療しない群」に分け、その後の経過を比較する研究方法。エビデンスレベルが高いとされるが、本研究のように「受診させない」群を作ることは倫理的にできない。

3 標的試験エミュレーション(Target Trial Emulation): 観察データ(既存のデータベースなど)を用いて、理想的なRCT(標的試験)を可能な限り模倣するフレームワーク。ハーバード大学の研究者らによって提唱され、因果関係に迫るための疫学手法として、近年普及している。
 

研究费

本研究は、日本学術振興会 科学研究费助成事業(JP24K02708)の助成を受けて実施されました。 

论文情报

タイトル:Effect of early healthcare visits on cardiovascular disease risk in people with newly screened diabetes: emulating a target trial using a large insurance database
著者:Kiyomitsu Fukaguchi, Tomohiro Shinozaki, Zui C. Narita, Atsushi Goto
掲載雑誌:Diabetes Research and Clinical Practice
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お问い合わせ先

横浜市立大学 広报担当
mail: koho@yokohama-cu.ac.jp
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