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意识?无意识脳での神経のつながり方の可视化に成功
-睡眠中に感覚応答を知覚できない脳の谜にヒント-

横浜市立大学大学院データサイエンス研究科データサイエンス専攻の准教授、理化学研究所(理研)脳神経科学研究センター触知覚生理学研究チームの村山正宜チームディレクター、大本育実基础科学特别研究员、东京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻の大泉匡史准教授、清冈大毅大学院生(博士课程)、生理学研究所行动?代谢分子解析センターウィルスベクター开発室の小林宪太准教授らの共同研究グループは、无意识状态では、意识状态时と异なり脳の大脳皮质の机能的ネットワーク[1]が複数のサブネットワークに分離していること、サブネットワークを構成する神経细胞は脳の複数の領域に混在し、領域を越えた神経细胞間のつながりが存在すること、多数の神経细胞と協調的な活動を示すハブ细胞と考えられる细胞群は、ネットワーク構造の形成に大きな貢献をしているものの、意識?無意識状態における脳のネットワーク構造の違いには貢献をしていないことを発見しました。

本研究成果を応用することで、脳損傷などに伴う意識障害(昏睡?無反応覚醒症候群〔UWS;従来の植物状態〕?最小意識状態)やてんかん、統合失調症、認知症(アルツハイマー病)などで臨床的に報告されている脳機能ネットワーク構造の変容を、细胞レベルで理解できる可能性があり、疾患の早期発見や、细胞に着目した治療戦略の立案に貢献することが期待されます。

今回、共同研究グループは、村山チームディレクターらが独自に开発した広视野2光子顕微镜[2]を用い、無意識状態(睡眠?麻酔時)および意識状態(覚醒)におけるマウスの大脳皮質の神経活動を、多領域にわたり単一细胞レベルで大規模に記録し、そのデータを用いて機能的ネットワークの構造を詳細に解析しました。

本研究は、科学雑誌『Cell Reports』オンライン版(2月6日付:日本時間2月7日)に掲載されました。
细胞レベルの機能的ネットワークの統合?分離、细胞分布

研究背景

梦を见ていないノンレム睡眠[3]中や全身麻酔中であっても、脳内における個々の神経活動の頻度は覚醒時よりは落ち着くものの、神経细胞は覚醒時と同様に自発的に活動し、外界からの刺激に対し応答(感覚応答)を示します(動画参照: (PW:Rikenpress))。ところが、私たちはその神経活動による情報を知覚(感知)することができない無意識状態にあります。無意識状態において、神経细胞が活動しているにも関わらずその情報を知覚できない仕組みはこれまでよく分かっていませんでした。

この謎を解く手がかりとして、意識の有無に応じて脳内の神経细胞間のつながり方(ネットワーク構造)が変容している可能性に着目しました。脳全体の活動を同時に計測する手法として広く用いられている機能的磁気共鳴画像法(fMRI)[4]は、機能的ネットワークの構造をマクロレベルで観察することができます。fMRIを用いた先行研究では、無意識状態の脳領域間ネットワーク構造が覚醒時と違ってサブネットワーク(同じような活動を示す神経细胞のまとまり)に分離していることが報告されていました注1)。しかし、fMRIでは细胞レベルの解像度がないため、個々の神経细胞が脳内にて機能的ネットワークをどのように形成しているのか、機能的ネットワーク構造の変容にどのように関与しているのかを調べることはできませんでした。

意識?無意識状態での脳機能メカニズムを理解するためには、脳の情報処理において最小単位である単一神経细胞の解像度で、脳領域をまたいだ神経细胞活動の網羅的な記録と解析により、機能的ネットワークの構造の変容を可視化することが必要です。

村山チームディレクターらが独自に開発した広視野2光子顕微鏡は10以上の脳領域から10,000以上の神経细胞の活動を同時に記録することができるため、単一细胞レベルのミクロな解像度を保ったまま、大規模な機能的ネットワーク構造を解析することが可能です注2)。共同研究グループは、広视野2光子顕微镜によるカルシウムイメージング法[5]を用い、マウスの無意識状態(睡眠?麻酔時)および意識状態(覚醒時)において、大脳皮質における神経细胞の活動を大規模に観察し、そのデータから機能的ネットワークの構造を细胞レベルで解析することに挑みました。

注1)Enzo Tagliazucchi et al. Large-scale brain functional modularity is reflected in slow electroencephalographic rhythms across the human non-rapid eye movement sleep cycle. Neuroimage. 2013 Apr 15:70:327-39.
doi: Epub 2013 Jan 9

注2)2021年4月20日プレスリリース「脳の宇宙を捉える顕微镜」

研究内容

共同研究グループは、広視野2光子顕微鏡によるカルシウムイメージング法により、無意識状態(睡眠?麻酔時)および意識状態(覚醒時)のマウスの大脳皮質の神経细胞の活動を観察しました(図1A)。

その結果、無意識状態において、個々の神経细胞の活動は観察されたものの、神経细胞の全体的な活動レベルは意識状態時に比べて落ちていました(図1B、C)。その観察データから、神経细胞間の協調的な活動を数理解析により抽出し、意識?無意識状態時の機能的ネットワークの構造を推定しました。

図1 広視野2光子顕微鏡を用いた単一细胞レベルかつ大規模な脳神経活動の記録
A: 3mm×3mmの視野を有する顕微鏡を用いて、大脳皮質の10以上の脳領域から10,000以上の神経细胞の活動を同時に記録した。それぞれの脳領域を異なる色で示している。
B: 覚醒と睡眠を繰り返すマウスの脳状態とその時の神経细胞活動の例。本実験において、レム睡眠(浅い睡眠で、脳波は小さくて覚醒状態時に近い)はほとんど観察されなかったため、解析には用いなかった。
C: 覚醒時の神経细胞活動と麻酔時の神経细胞活動の例。
まず、大規模な機能的ネットワークの構造を细胞レベルで把握するため、ネットワークがどのようにサブネットワークに分かれて働いているかを示す「モジュール性」(ネットワークの統合?分離性)という指標に注目し、意識状態と無意識状態で、モジュール性がどのように変化するのかを調べました。モジュール性が高いほど、ネットワークはいくつかのサブネットワークに分かれており、逆に低いほど全体が一体となって活動している状態を意味するため、ネットワークの統合?分離を評価できます。

解析の结果、意识状态と无意识状态とで机能的ネットワークのモジュール性に违いがあることが分かりました。意识状态に比べて、无意识状态ではサブネットワーク内の结合が强まる一方、サブネットワーク间の结合は弱くなることでモジュール性が高まる、つまり、机能的ネットワーク全体としては分离していました(図2、分离ネットワーク)。分离ネットワークではサブネットワーク间の结合が弱くなって情报が効率的に运べないと考えられます。この结果は、无意识状态で感覚応答が生じても知覚に至らない背景に、こうした分离ネットワークがある可能性を示唆しています。このミクロスケールの结果は、マクロスケールで脳领域间ネットワークを解析した先行研究注3)とも一致します。

さらに、神経细胞に着目してサブネットワークの安定性について検証したところ、それぞれの神経细胞が属するサブネットワークは時間とともに変化していくものの、完全にランダムに変化するのではなく、ある程度時間的に安定していることを示唆する結果を得ました。この結果は、サブネットワークが何かしらの脳機能を有する構造化された集団であることを示唆します。

 
図2 意識?無意識時の神経细胞活動から推定される機能的ネットワークのモジュール性
A: 覚醒時に比べ、ノンレム睡眠時や麻酔時のような無意識状態の方が、モジュール性が高かった。**は脳状態間で有意な違いがあることを示す。
B: 解析結果の模式図。ネットワークは、無意識状態ではよりサブネットワークに分離し、覚醒時には統合している。
次に、機能的ネットワークの分離や統合に寄与する神経细胞の特性を調べるために、機能的ネットワークを構成する全ての神経细胞に対し、モジュール性への貢献度と、他の神経细胞とのつながりの程度を表す次数[6]を計算しました。例えば、1,000次数を持つ神経细胞は1,000個の別の神経细胞と協調的に活動していることを意味します。機能的ネットワークの維持や発展に重要な细胞は、次数が高く、「ハブ」细胞として機能すると考えられます。そこで、次数の大きさごとに神経细胞を分類し、次数クラスごとの神経细胞群について、モジュール性への貢献度を調べました。その結果、高い次数を持つハブ细胞は、ネットワークの形成そのものには貢献していましたが、意識状態によって変化するモジュール性の違いには貢献していませんでした。一方、「中程度の次数」を持つ神経细胞群は、モジュール性の違いを生み出していることが明らかになりました。(図3)。これらの結果は、次数に対応して细胞ごとに機能的ネットワークの構成や統合?分離性への役割が違うことを示唆します。


図3 神経细胞の次数とモジュール性への貢献度の関係
A: 意識?無意識状態(覚醒?ノンレム睡眠、麻酔)におけるモジュール性の違いをつくり出しているのは、高次数のハブ细胞ではなく、次数中間層の神経细胞であった。黒線は、脳状態間でモジュール性の違いに有意に貢献する次数クラスを示す。
B: 解析結果に基づく覚醒時のネットワーク模式図。モジュール性の違いは次数中間層の神経细胞(赤点)が、ハブ细胞(青点)や次数低数细胞(黒点)よりも寄与している。
さらに、脳内におけるサブネットワークの空間的な分布を調べたところ、意識?無意識状態のいずれにおいても、各サブネットワークを構成する神経细胞は各脳領域に混在していることが分かりました(図4A)。これらの結果は、あるサブネットワークに属する神経细胞群が脳領域をまたいで協調的に活動していることを示します(図4B)。サブネットワークが構造化された集団であるとする先の結果や、運動野と感覚野間の長距離回路が知覚形成注4)や记忆の固定化注5)に関連することを示した先行研究を鑑みると、こうした脳領域をまたいだ神経细胞間のつながりが、脳機能の発現に関わっていると考えられます。

最後に、ミクロスケールでの結果をマクロスケールに展開することができるかを検証しました。ある神経细胞の周辺の複数の神経细胞の活動を平均化することで空間的な粗視化(マクロスケールに解像度を落とすこと)を行い、再度サブネットワークの分布を検討しました。この結果、粗視化することで、サブネットワークを構成する神経细胞群の分布が、混在化から局在化へ移行することを見いだしました(図4C)。こうした局在化はマクロスケールで記録した先行研究と一致しています。

なぜ神経细胞レベルだと混在パターンとなり、粗視化すると局在パターンになるのでしょうか。おそらく、各神経细胞の活動には、その细胞の場所情報が少しだけ含まれており、周辺の神経细胞の活動と平均化することで、その場所情報が蓄積されて局在化するようになったと考えられます。このように、マルチスケールな解析はミクロとマクロ観察のギャップを埋めることができ、脳機能メカニズムを解明する中心的な手法となる可能性が示唆されました。
図4 意識?無意識状態のいずれも混在する神経细胞は粗視化で局所化
A: 記録した全ての神経细胞の空間分布。各サブネットワークを各色で表現している。一部を拡大して確認すると、さまざまなサブネットワークが混在していることが確認できた。
B: あるサブネットワークの空間分布。同じサブネットワークに属する神経细胞は協調的な活動を示し、これを神経细胞間の線(リンク)として示している。意識?無意識状態を問わず、短距離だけでなく長距離リンクも存在した。
C: 近傍40神経细胞の活動を平均化して空間的に粗視化することにより、サブネットワークの局在化が確認された。
注3)Hierarchical clustering of brain activity during human nonrapid eye movement sleep. Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 109, 5856–5861 (2012).
注4)2015年5月22日プレスリリース「&辩耻辞迟;感じる脳&辩耻辞迟;のメカニズムを解明」

注5)2016年5月27日プレスリリース「睡眠不足でも脳への刺激で记忆力がアップ」

 

今后の展开

無意識状態では、機能的ネットワークを構成するサブネットワーク内の結合が強まる一方、サブネットワーク間の結合は弱くなり、機能的ネットワーク全体としては分離していました。この結果は、無意識状態であっても感覚刺激に対して神経细胞が応答しているのに知覚できない脳メカニズムの解明の第一歩となると期待されます。

また、本手法を用いれば、単一细胞レベルでネットワークを記録することが可能なため、ミクロからマクロスケールをまたいでネットワーク構造を解析できることを実証しました。臨床研究ではさまざまな疾患?病態において脳機能ネットワーク構造の変容が報告されていますが、本手法を疾患モデル動物に適用することで、臨床で観察されるマクロなネットワーク変化がどのような细胞間結合の変化から生じるのかを细胞レベルで理解することにつながります。将来的には、疾患の早期発見や、细胞に着目した治療戦略の立案に貢献することが期待されます。

用语説明

[1] 機能的ネットワーク
神経细胞間のミクロ活動、または領域間のマクロ活動の同期性から推測される脳の機能的構造。细胞または領域活動の時系列データから相関係数を解析し、ネットワークを構築する。

[2] 広視野2光子顕微鏡
赤外線レーザーを用いて生体組織の深部を高解像度で観察できる2光子顕微鏡を広視野化し、脳の広い領域を同時に単一细胞レベルで記録できる装置。

[3] ノンレム睡眠
徐波(大きくゆっくりと振动する脳波)活动が优势となる深い睡眠状态で、意识レベルが低下している状态。

[4] 機能的磁気共鳴画像法(fMRI)
脳内の血流変化を計測し、活動している脳領域を可視化する非侵襲的な画像計測法。细胞レベルでの空間解像度はない。

[5] カルシウムイメージング法
神経细胞が活動すると変化するカルシウムイオンを、蛍光変化として捉えることで活動の様子を可視化する方法。生きた脳内で、同時に多数の神経细胞の活動を可視化できる。

[6] 次数
ネットワーク解析において、あるノード(神経细胞)が他のノードとどれだけ接続しているかを示す指標。
 

论文情报

タイトル:Single-cell resolution functional networks during unconsciousness are segregated into spatially intermixed modules
著者名:Daiki Kiyooka, Ikumi Oomoto, Jun Kitazono, Yoshihito Saito, Midori Kobayashi, Chie Matsubara, Kenta Kobayashi, Masanori Murayama, and Masafumi Oizumi
雑誌:Cell Reports
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研究费

本研究は、RIKEN Incentive Research Project(村山正宜)、理研基礎科学特別研究員制度により実施し、日本医療研究開発機構(AMED)「革新的技術による脳機能ネットワークの全容解明プロジェクト」の「革新的技術による脳機能ネットワークの全容解明(中核拠点)(研究代表者:宮脇敦史、岡野栄之)」、同脳神経科学統合プログラム「脳データ統合プラットフォームの開発と活用による脳機能と疾患病態の解明(研究代表者:岡部繁男)」、日本学術振興会(JSPS)科学研究费助成事業学術変革領域研究(A)「大脳皮質における効率的なネットワーク構造の創発機構(研究代表者:村山正宜)」、同学術変革領域研究(B)「脳状態毎の超広域神経活動記録とクラスタ/ハブ细胞の選択的操作法の開発(研究代表者:村山正宜)」「クオリア構造と対応する情報構造の脳活動からの抽出(研究代表者:大泉匡史)」、同若手研究「大規模神経活動記録により発見されたハブ细胞の分子基盤の解明(研究代表者:大本育実)」、同特別研究員奨励費「エントロピー生成による意識の有無の定量化(研究代表者:清岡大毅)」、科学技術振興機構(JST)「次世代研究者挑戦的研究プログラム(清岡大毅、JPMJSP2108)」、同ムーンショット型研究開発事業「身体的能力と知覚能力の拡張による身体の制約からの解放(研究代表者:金井良太、JPMJMS2012)」、同CREST「情報網に潜む因果構造解析と高次元脳計測による意識メータの創出(研究代表者:小村豊、JPMJCR1864)」による助成を受けて行われました。

お问い合わせ先

横浜市立大学 広报担当
mail: koho@yokohama-cu.ac.jp